SCS評価制度を「★取得」で終わらせないために──現場負荷の軽減、企業価値の向上にまでつなげられるか
第1回:SCS評価制度の価値と経営者が考えるべき論点
SCS評価制度を「企業価値」の向上につなげるために
それでは、A社の経営会議に戻ろう。
CISOの発言によって、A社の役員たちは次第に共通認識を持ちはじめていた。そして、議論の焦点が「評価を受けるべきか」という制度対応の問題から、「評価結果をどのように経営へ活用するか」という経営課題へ移っていたのである。
たしかにSCS評価制度は、企業のセキュリティリスクの状況を客観的に把握するための共通のものさしだ。しかし、その真価は評価を受けるだけでなく、その結果を経営判断へ活用できることにある。
リスク対策の優先順位を決めること、投資判断へ反映すること、事業継続力を高めること、ステークホルダーへの説明責任を果たすこと……これら一連の活動につなげて初めて、SCS評価制度は企業価値向上に貢献できる。A社の社長は、最後にこう締めくくった。
「重要なことは、評価を受けたという事実ではない。評価結果をベースラインとして活用し、自社のセキュリティリスクの状況を可視化した上で、どのリスクへ優先的に対応し、どこへ投資し、どのようにステークホルダーへの説明責任を果たしていくのかを経営判断として決めることだ」
制度対応から企業価値の向上へ──SCS評価制度を経営課題として捉える形で、A社のセキュリティリスク管理は前進していく──同様の道を歩むためにも、まずはSCS評価制度の経営価値を考えなおしたい。
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酒井 慎(サカイ シン)
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 リスク・コンサルティング アソシエートパートナー金融機関向け決済ネットワークの企画・開発業務を経験後、IT戦略、ITガバナンス、サイバーセキュリティ領域を中心としたコンサルティングに従事。FinTech分野におけるリスク管理や業界標準策定にも携わる...
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多田 優里(タダ ユリ)
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 リスク・コンサルティング シニアマネージャーSIerにてグループウェアをはじめとするインフラ・アプリケーションの設計、開発、運用保守およびプロジェクトマネジメントに約15年従事。その後、クラウドおよびセキュリティコンサルタントとして、クラウド戦略策...
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