AI時代に変わるPC調達の常識 価格・性能だけでなく「侵害後」をどう設計するか
検知をすり抜ける攻撃にどう備えるか 端末設計から考えるサイバーレジリエンス
侵害時の事業影響を抑える「端末起点」の隔離アプローチ 日本HPが提案する、隔離を軸とした端末保護
AIを悪用したフィッシングや未知のマルウェア、正規の認証情報を悪用する攻撃に対し、検知を中心とする対策だけで対応することは難しい。木下氏は、こうした前提に立ち、日常業務で外部から持ち込まれるリスクと、侵害時の影響が大きい業務を分けて保護する考え方を示した。
まず、外部から持ち込まれるリスクは、Web閲覧や電子メール、添付ファイルの開封などが起点となる。従来は、ファイルやURLをスキャンして安全性を判断した上で、ホストOS上で開く方法が一般的だった。しかし、未知の攻撃や検知を回避するマルウェアもあるため、入口での判定だけですべての脅威を防ぐことは難しい。
そこで、日本HPが推奨するのは「HP Sure Click Enterprise」による隔離だ。これはWeb閲覧や添付ファイルの開封といった操作をホストOSから分離した、マイクロVM内で実行するもの。悪意あるファイルやWebコンテンツが含まれていた場合、その脅威はマイクロVM内に封じ込められる。Webブラウザ上のタブや添付ファイルを閉じさえすれば、破棄される仕組みだ。
また、管理者権限での操作、基幹システムへの接続、クラウド管理コンソールへのアクセスなどを日常業務の環境と分けて保護することも重要だとする。たとえば、日常的にWebを閲覧しているような環境で特権操作を行えば、端末の侵害時に認証情報や管理者権限が窃取される可能性が高まるからだ。
日本HPでは「HP Sure Access Enterprise」によって、特権アクセスのセッションをホストOSや他タスクから分離した仮想環境で実行。端末が侵害されている可能性も想定し、重要システムへの接続時には、日常業務で使用する環境と切り分ける仕組みだ。ハードウェア支援型の仮想化技術を利用し、特権アクセスのセッションをホストOSや日常業務の環境から分離して実行する。
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外部から持ち込まれるリスクをマイクロVMで隔離し、特権アクセスをともなう重要業務は別の仮想環境で保護。さらに、端末の起動時にはESCによってBIOSや重要なファームウェアの完全性を確認する。これらの組み合わせによって検知だけに依存せず、被害の封じ込めと端末の信頼性確認を組み合わせることで、侵害時の事業影響を抑え、継続・復旧を支える端末保護を目指す。
「守りのボーダーライン」をどこに置くか
講演の最後、木下氏はセキュリティ対策と端末の調達基準を見直す必要性をあらためて示した。これからの調達では搭載機能の数や価格だけでなく、「検知できなかった場合でも、被害を抑えながら事業を復旧できる仕組みがあるか」を問うべきだという。
AIを悪用した攻撃、サプライチェーンを介した改ざんリスク、将来の量子コンピューターによる暗号への影響など、企業を取り巻くリスクは変化している。検知や境界防御は引き続き重要だが、それだけで被害を防ぎ切ることは難しい。だからこそ、検知をすり抜けた場合でも影響を封じ込め、信頼できる状態へ復旧する仕組みを“端末の設計段階”から組み込むことが重要だ。
防御の起点をネットワークやOSだけに置かず、ハードウェア、ファームウェア、隔離された実行環境にも広げる。木下氏は、このように防御を多層化することが、攻撃を受けた後も業務を継続・復旧するためのサイバーレジリエンスにつながると説明した。
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
提供:株式会社 日本HP
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