半導体ディスクの導入で、最大10倍のパフォーマンス向上
「クイック診断」の結果をもとに、具体的にオラクル・データベースのパフォーマンスの改善を実現するサービスが「DBインフラ構築」になる。ストレージ関連ソリューションの企画、コンサルティングなどを担当している日本HPの吉岡祐氏は「HPの高性能サーバーソリューションを中核に、単一障害点を排除し、マイクロ秒レベルのアクセスを実現する超高速・高可用性DBの構築を支援する」とサービスの基本構想を紹介する(図3)。
このDBシステムは、クラスタウェアにより冗長性を担保したデータベースサーバー(ProLiant G7)、二重化されたInfiniBand Switch、RAID構成のストレージサーバー(ProLiantサーバー)で構成されている。高速化の第1のポイントは、Fibre Channelよりも低レイテンシ、高スループットで通信可能なInfiniBandの採用。そして最大のポイントは、半導体ディスク製品「IOアクセラレータ」をストレージサーバーのPCI Expressスロットに搭載し、データベースサーバーに対するディスクとして提供していることだ。
IOアクセラレータは、書き込みや消去の速度が速く大容量に適したNANDフラッシュテクノロジーに基づく、不揮発性半導体デバイス。従来、ハードディスク性能の制限により複数のサーバーに負荷分散をしていた、参照用DBサーバーなどの集約に最適といえる。
日本HPが実施した検証作業では、IOアクセラレータとInfiniBandの組み合わせにより、一般的な外部FCストレージを利用したDBシステムに比べて、応答時が約1/10に改善し、同時に処理性能も約10倍に向上した(図4)。ところで、DBメモリーの容量が大きくなれば、ストレージのI/Oが減少するため、半導体ディスク導入の効果が無くなるのでは、という指摘がある。
日本HPでは、DBメモリーを1GBから8GBにして計測した結果、IOアクセラレータ環境の方が4倍以上のトランザクションがあることを確認し、効果を検証している。加えてディスク回転などなどが無くなるため、電源削減効果も大きいとのことだ。
フラッシュメモリーを用いた高速読み書き可能なデバイスとしては、SSD (Solid State Drive)が普及しているが、IOアクセラレータは読み出しで3~7倍、書き込みで6~7倍早いという。その理由として吉岡氏は、「一般的なSSD は、CPUへの接続がRAIDコントローラ経由なのに対し、IOアクセラレータはPCI Expressバスで直結。ステップ数、読み書きのチャンネル数などに違いがある」などの要因を挙げる。
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