クラウド・コンピューティングが注目される中、システムの仮想化が進みIT運用はさらに複雑化している。そのため運用現場では、仮想化環境特有の運用業務への対応や、インフラを共有することによる運用標準化、障害原因発見の迅速化などの新たな課題が発生している。その解決に必要な視点は「運用の自動化・標準化の推進」「運用プロセス・品質カイゼン」であり、そこでは有用な運用管理ツールの活用がキーになる。
現場の声を反映したツールでデータセンターを運用
日本初の民間シンクタンクとシステムインテグレーターの草分けの合併によって生まれた、現在の野村総合研究所(NRI)。その業務は、システムの開発が4割、システムの運用、データセンターの事業が4割を占めている。その中でNRIのデータセンターは700名で運用され、20年間停止ゼロという実績を持つ。最大のデータセンターは神奈川県の保土ヶ谷市にあり、約7000台のサーバーが稼働している。

このNRIのデータセンター運用は、Senju Family(せんじゅふぁみりー)と呼ばれる自社開発の運用管理ツール群により支えられている。メインフレーム時代から開発が始まり、1994年からはパッケージとして社外に販売されている製品だ。その特徴についてNRIの寺井忠仁氏は「各時代のITの変化に柔軟に対応し、運用現場のニーズに応えて作り込まれてきた製品」と語る。
では、クラウド・コンピューティング時代では、どのようなニーズが生じているのだろうか。仮想化、クラウド化を進めてきたNRIのデータセンターでいえば、毎日30~40万の障害イベントが発生しており、それが標準的な手順書の切り分けにより20~30万に絞られる。そこから社内や顧客への電話コールが2千~1万。ただ、即時対応が必要なのは2~3千であり、障害イベント全体の1%にも満たない。そこで、実態が見えにくい仮想環境において、いかにサービス影響を見分け、早く対応できるようにするかが課題となっていた。
この記事は参考になりましたか?
- この記事の著者
-
EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
「EnterpriseZine」(エンタープライズジン)は、翔泳社が運営する企業のIT活用とビジネス成長を支援するITリーダー向け専門メディアです。データテクノロジー/情報セキュリティの最新動向を中心に、企業ITに関する多様な情報をお届けしています。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア