ナイトメア・ビフォア・納品(もちろんオフィスで見るの巻)
「お客さん、ずいぶんうなされてましたね」
そんなふうにお店の人に声をかけられて、
寝ぼけまなこをこすりながら、はて、ここはどこだろう、
そうだ、ここは床屋で、自分は、自分は……
毛の長い一匹のアルパカであった。
ハサミを振りかざす美容師さんの群れから必死で逃げながら、
アルパカという動物がいかに鈍足であるかを思い知るという
典型的な追いかけられ型の悪夢、同様の経験(含アルパカ)を
お持ちの方も多いのではないかと思います。
そんなときには、やはり現実のほうでも
納期が近づいていたり、レポートの提出日が迫っていたり、
なにかに追われる状況にあるというものではないでしょうか。
そうだとしたら、つねに納期に追われていると巷で評判の
プログラマーやエンジニアの方の悪夢のなかでは
一体なにが追いかけてくるのでしょうか?
知りたがりやさん揃いの編集部がさっそく調査してみると、
意外なことに、プログラマーやエンジニアの方は
何かに追われる夢をほとんど見ていないのがわかりました。
そのかわりに悪夢に登場する率が圧倒的に高いのが、
なんと、スパゲティだったのです。
からまったスパゲティの巨大な塊に押しつぶされたり、
大皿のスパゲティにフォークを入れたら
ひと固まりになっていて、そのまま無理やり食べて窒息したり、
それはもう、なにかというとスパゲティであるらしいのです。
意外な結果に、編集部は騒然となりました。
(ちなみに、編集部はいつでも騒然としています)
調べていくうちに、さらに驚くべき事実が判明しました。
登場するスパゲッティが、年代によってはっきり二種類に
分かれているらしいのです。
つまり、ある年齢より上の人の悪夢に登場するスパゲッティは
ぶつぶつと切れやすい太い麺の、昔の学校給食でおなじみの
ナポリタンなのにたいして、それよりも若い人たちの夢に出るのは
絶妙なアルデンテ、そしてボンゴレビアンコだというのです。
編集部はいよいよもって騒然となりました。
(入稿日が近づいていたのです)
はたして両者の正確な境界線はどこにあるのか、
なんとしても突き止めなくてはいけません。
迫る締め切りに、編集部員たちも悪夢をみるようになり、
そこにもやっぱりスパゲッティが登場します。
しかも、このスパゲッティは追いかけてくるのです!
……というところで目覚まし時計が鳴りはじめてしまいました。
夢のなかで記してまいりました今回のお話、残念ですがここでおひらきと
させていただきます。それはそうとカルボナーラが好(未完)
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倉田 タカシ(クラタ タカシ)
「ネタもコードも書く絵描き」として、イラストレーション、マンガ、文筆業、ウェブ制作、Adobe Illustratorの自動処理スクリプト作成など、多方面で活動。
イラストの他に読み札も手がけた「セキュリティいろはかるた」はSEショップより発売中。
河出文庫「NOVA2-書き下ろし日本SFコレクション」...※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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