ITILの登場で脚光を浴びる運用管理ツール
企業において、戦略的なITシステムを他社に先駆けタイムリーに投入することが、課題となって久しい。さらに、最近では、J-SOXをはじめとする各種法制度への対応や情報漏洩などのセキュリティの強化も急がれている。また、増えつづける一方のITトータル運用費用(TCO)をいかに削減するかも重要である。現場では、優秀な開発技術者の他に、プロフェッショナルな運用技術者が求められているのだ。
また、近年のIT市場は、サービスレベルの遵守、定期的なレポート、適切な指揮系統による問題への対処など、ITサービス提供部門の適切な体制と活動による運用管理が求められている。このようなニーズの高まりに、ITサービスマネジメントに関する体系的なガイドラインである「ITIL」が登場した。
ITIL(IT Infrastructure Library)とは、1980年代後半に英国政府が策定したコンピュータシステムの運用・管理業務(ITサービスマネジメント)に関する体系的なガイドラインだ。数冊の書籍の形でまとめられており、同政府機関のOGC(Office of Government Commerce)などから入手できる。詳細は以下の記事が参考になるだろう。
・EnterpriseZine:コーナー:はじめてでもわかるITIL解体新書
・CodeZine:システム開発にITILを生かす
こういったITILを活用した運用管理支援をおこなうためのツールが、各ベンダーから発売されている。その中でも日立製作所の「JP1」は、システム運用管理ソフトウェアの国内シェアトップクラスを誇る製品だ。
JP1では、システム全体の稼働状況を[統合コンソール]から共通化されたオペレーション環境で一元管理でき、管理目的に沿ってITリソースを仮想化することでシステムを可視化。障害などの事象発生時に自律的に対処できるようになっている。また、PCサーバ1台のシステムからサーバ数千台の大規模システムまで、統合的に管理できる拡張性を備えているため、システム規模に見合った投資を可能にする。
今回紹介する本書は、この「JP1」のテクニカルスキルを認定するJP1認定資格制度の試験学習書である。
株式会社日立システムアンドサービス[著] 株式会社日立製作所 ソフトウェア事業部[監修] ISBN:9784798115412 サイズ:A5 ページ:360 価格:\2,940(本体\2,800) |
JP1認定資格を取得するには
JP1認定資格は、そのレベルや立場によって分類されている。一般向け資格は4つのレベルがあり、初級者向けの「JP1認定エンジニア」、実践者向けの「JP1認定プロフェッショナル」、ポイントソリューション向けの「JP1認定コンサルタント」、そしてトータルソリューション向けの「JP1認定シニアコンサルタント」からなり、パートナー企業向けには営業担当者向けの資格も用意されている。
認定資格名 | 認定スキル |
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JP1認定エンジニア | JP1全般を理解しており、運用に必要なテクニカルスキルを習得したエンジニアを認定 |
JP1認定プロフェッショナル | JP1の各カテゴリ製品の導入とシステム構築ができるテクニカルスキルを習得したエンジニアを、カテゴリごとに認定 |
JP1認定コンサルタント | JP1各カテゴリ製品について、最適なコンサルテーションができるテクニカルスキルを習得したエンジニアを、カテゴリごとに認定 |
JP1認定シニアコンサルタント | JP1製品について、トータルソリューションを実現するためのコンサルテーションができるテクニカルスキルを習得したエンジニアを認定 |
JP1認定セールスコーディネーター | お客さまに対し最適なJP1の提案、見積もりができるセールススキルを習得したエンジニアを認定 |
本書が対象とする「JP1認定エンジニア」は、JP1認定資格制度のなかで最もエントリ向けの資格である。本書を読むことで、この試験の対策に向けたJP1全般の知識と運用に必要なテクニカルスキルを着実に体系だった学習が行える。 執筆は、運用管理教育に実績のある日立システムアンドサービスが、監修はJP1の開発元である日立製作所が行っているので、必要十分な内容になっている。
今後のスキル、キャリアの幅を広げるためにも資格取得を考えてみてはどうだろうか。
関連リンク
主な目次
- 序章 JP1認定資格制度の概要
- 第1章 JP1の概要
- 第2章 モニタリング
- 第3章 オートメーション
- 第4章 ITコンプライアンス
- 第5章 ファウンデーション
- 第6章 模擬試験
- 第1回 模擬試験
- 第2回 模擬試験
- 第3回 模擬試験
- 付録 参考資料
- 主なJP1製品一覧
- 参考リンク
- JP1認定資格講座