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「SAPとは緊密で補完しあうインデペンデントな関係」―サイベース 早川社長に訊いた


独SAPがエンタープライズモバイルデータベースで大きなシェアを占める米Sybaseの買収を発表したのは2010年5月、インメモリやモバイルへの取り組みを本格化するSAPの方向性を内外に強くアピールした案件としてワールドワイドでも大きな注目を集めた。買収完了から約1年、両者の関係はどのように変化し、それぞれの製品戦略にどんな影響が出てきているのか。サイベース 代表取締役社長 早川典之氏にお話を伺った。

文化の違う企業同士をいきなりにひとつにしない

SAPはSybaseの買収を発表から2カ月後の2010年7月に完了している。ここで注目したいのが、Business ObjectsなどSAPが買収した他の多くの企業と異なり、SybaseはSAPの1ディビジョンになることなく、独立企業としてオペレーションを続けていることだ。これは買収時にSybase CEOのジョン・チェン(John Chen)氏が条件として掲げたもので、SAPも了承し、現在に至っている。SAPグループの中ではかなりユニークな経営形態だが、なぜこのような選択をしたのだろうか。

「文化が違う企業を
無理やりひとつにしてもうまくいかない」

「チェンCEOの提案が受け入れられたのは、彼とSAP共同CEOのひとりであるビル・マクダーモット(Bill McDermott)がもともと仲が良かったということもあるが、双方が"文化が違う企業同士をいきなりひとつにしてもうまく行かないだろう"という思いが一致したことが大きいようだ」と早川社長はその理由を語る。

たとえば現在SAPが注力するインメモリデータベースの「HANA」はアプライアンスとして市場に提供されている。一方でSybaseのインメモリソリューションには「Adaptive Server Enterprise(ASE)」「SQL Anywhere」があるが、これらがアプライアンス化する予定はない。

「SAPとSybaseはビジネスを一緒に作り上げていくという意志は共有しているが、そのやり方は必ずしも同じではない。インメモリに関してなら、アプライアンスがいいというお客様もいれば、ソフトウェアだけが欲しいというお客様もいる。もし会社が統合されて完全にひとつの企業になってしまえば、どちらかの製品の開発やサポートを止めてしまうことにもなりかねない」(早川氏)

そしてそれは止めるほうのの技術を使っている顧客にとっては非常に困ることになる。それぞれの製品やサービスを使い続けている顧客のためにも、少なくとも当面は独立した企業としてソリューションの提供を続けていくほうがいい - これが両社のトップが下した判断だ。

SAPもSybaseも過去に多くの企業買収を経験してきており、成功体験だけでなく、ときには"痛い目"にも遭ってきた。その蓄積されたノウハウから「今回はSybaseを独立させたままのほうがメリットが大きい」という結論が自然に導きだされたというわけだ。

買収に伴い、Sybaseは2010年7月にNY証券取引所(NYSE)への上場を廃止したが、その際発表された2010年第2四半期の決算発表の数字によれば、SybaseはGAPPベースの営業利益率は25%、非GAPPベースでは30%という高い利益率を出している。この状態で無理にマージさせると、買収のメリットを生かすことができなくなるとSAPも判断したようだ。

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連携の第一弾はSAP ERP on Sybase ASE

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五味明子(ゴミ アキコ)

IT系出版社で編集者としてキャリアを積んだのち、2011年からフリーランスライターとして活動中。フィールドワークはオープンソース、クラウドコンピューティング、データアナリティクスなどエンタープライズITが中心で海外カンファレンスの取材が多い。
Twitter(@g3akk)や自身のブログでITニュース...

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