最近はご家庭で使われるテレビの録画装置もDVDやHDDが主流になり、テープはどちらかと言うと時代遅れのような印象をお持ちの方も少なくないだろう。コンピューターの世界でも同じような印象を持つ方は少なくない。しかしコンピューターの世界では、テープは減り続けるどころか、その需要は以前にも増して多くなってきている。今回はそんなテープについて話を進めてみたい。(後半はこちら)
テープの需要は伸びている
近年ではデータは爆発的に増加する傾向に有り、皆さんがお使いのパソコン(PC)のディスク・サイズもきっと年々大きくなっていることであろう。皆さんはPCディスクのバックアップなど取っていないかもしれないが、企業ユーザーが利用するサーバーのデータは、そういう訳には行かない。サーバーは壊れたら新しいのと取り替えるだけで済むが、ディスクが壊れた場合、メーカーはディスク装置そのものを入れ替えてはくれても、データまで入れて納めてはくれないからだ。サーバーは空箱でも役に立つが、ディスクは空のままでは役には立たない。故にデータをバックアップする事が大事になる。バックアップの更に深い部分については当コラムのバックナンバーを参照して頂きたい。
バックアップを保管する先はディスクでもDVDでもテープでも何でもかまわないのだが、信頼性やスピード、それにコストを鑑みると、企業ユーザーではテープを利用するのが一般的な選択となる。DVDなど光学系メディアも1つの選択肢ではあるが、容量が小さく、それにも増してとにかく書き込み速度が遅いというのが難点だ。日本人の多くは新幹線の影響で「ひかり」は速いとイメージしがちであるが、ストレージの世界において光は遅いというのが常識である。
故にディスクに保管するデータ量が多くなると、必然的にテープも多く使われることになる。これがテープの需要を押し上げている一番の理由だ。この他にもコンプライアンス問題や法規制の強化を受け、企業は以前よりも大量に且つ長期にデータを保管する必要性に迫られている。こういう長期保管目的にもテープは数多く利用されている。
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佐野 正和(サノ マサカズ)
1986年日本アイ・ビー・エムの入社、本社SE技術部門で13年間ストレージ製品を中心に技術サポートを行なう。1999年にストレージ製品事業部に移り、以後、IBMストレージ製品の営業推進やソリューション推進、製品企画などの業務に携わる。現在、システム・ストレージ事業部でソリューション担当部長を拝任し、...
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