日本マイクロソフトは6月29日、クラウドサービスである「Microsoft Office 365」を本日より提供開始することを発表した。
Office 365は、電子メール、予定表、ファイル共有、ポータル、インスタントメッセージ、オンライン会議などのコラボレーション機能を、Microsoft Officeアプリケーションと統合してWebブラウザから利用できるクラウドサービス。Office 365は、2010年10月から限定ベータ、2011年4月から公開ベータを提供し、ユーザーおよびパートナーと協力し検証を行いながら開発が進められてきた。
従来から同社で提供されている「BPOS」(Business Productivity Online Suite)の後継となるもので、Microsoft Officeアプリケーションの月額利用に加え、クラウドサービスである「Microsoft Exchange Online」、「Microsoft SharePoint Online」、および「Microsoft Lync Online」を統合して提供する。
都内で開催したOffice 365に関する記者発表会で登壇した、日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 インフォメーションワーカービジネス本部 本部長のロアン・カン氏は、「この1年間でBPOSを利用する企業や組織の数は、全世界で4倍以上、日本国内では5倍以上に成長している。また、同サービスを提供するパートナー数もBPOSを立ち上げた2年前に比べ30社から700社と20倍以上に増加している」と同社のクラウドサービスが多くのユーザーやパートナーに受け入れられ、急速に拡大していることを説明する。
ビジネス好調の理由についてロアン・カン氏は、事業継続性(Business Continuity)の観点から企業の重要なデータをグローバルでバックアップを取るクラウドが今まで以上に重要になっているためだと説明する。また電力不足やテレワークの観点からも、「例えば、Microsoft Exchange Online、Microsoft SharePoint Online、Microsoft Lync Onlineなどを使うことによって、従来と変わらない業務を遠隔地や在宅であっても遂行でき、生産性を非常に高く保つことができる」(ロアン・カン氏)と語る。
また、マイクロソフトの海外データセンターでシステムを運用するため、常に最新のサービスを簡単に利用でき、かつ社内サーバーも削減できることから、電源対策にも有効であることに加え、システムの運用管理の手間やコストの抑制が可能だという。
続いて登壇した、米マイクロソフトコーポレーション オフィスプロダクトマネジメントグループ担当 コーポレートバイスプレジデントの沼本健氏は、「Officeがクラウドサービスとして進化して生まれたOffice365は、中小企業から大企業まで幅広いお客様に対して、最新で最高のコラボレーションテクノロジーを提供できるサービス」だと語る。
また、沼本氏はOffice365を中小企業で利用することの意義に触れ、「世界規模で見ると、雇用の2/3がSMB(中小企業)であり、中小企業はまさに経済のエンジン。コラボレーションテクノロジーは、中小企業が厳しい競争のなかで勝ち抜いていくための大きな武器になる。多大な初期投資や複雑なITシステムの導入・管理を必要とせずに最新のコラボレーションテクノロジーを利用できるOffice365は、中小企業のお客様にうってつけの製品」(沼本氏)と強調し、SMB市場に向けて積極的に同サービスを提供していくことをアピールした。
Office365の料金は、管理機能を簡略化した小規模向けメニュー「プランP 」が1人あたり月額600円で、また数人から数万人まで幅広く利用可能な中規模から大規模向けメニュー「プランE」が1人あたり月額1000円から提供する。
また、早期導入企業として、トヨタ紡織株式会社、毎日放送、三菱ガス化学株式会社が「プランE」を、株式会社メディアワークス・ブルームおよび株式会社中家製作所が「プランP」を、それぞれ既に導入しているという。
また、同会見には、NTTコミュニケーションズ株式会社、株式会社大塚商会、およびリコージャパン株式会社のパートナー企業3社の担当者が登壇。各社の強みを活かした付加価値サービスやネットワーク回線、インターネット接続、導入サポートなどを組み合わせた、ワンストップ・クラウドサービスの提供を支援していくことを発表した。
マイクロソフトは、パートナーとの継続的な連携を強化し、特にITリソースが不足しがちなSMBにおける、Office 365も含めたクラウド環境の整備・利活用の充実を推進していく。