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IT Initiative Day

企業ビジネスの変革スピードを迅速化するITアーキテクチャとは

IT Initiative Day 2011.5.27 野村総合研究所 上野哲志氏 講演レポート


翔泳社主催『IT Initiative Day ビジネス再構築のためのIT基盤』(5月27日品川フロントビル)のセッションの内容をお届けする。早急な事業の再構築と成長維持が問われるこれからの時代にあって、これまでの手法を駆使し、さらに乗り越えるためのITシステム構築が求められている。事業環境や企業組織の違いによってSOA、BPM、MDMなどの手法をどのように選択・適用していくのか。野村総合研究所の上野哲志氏は、ITシステム再構築における検討のプロセスや、アーキテクチャの考え方を事例にもとづいて紹介した。

競争優位を実現するITライフサイクルとは

株式会社野村総合研究所 システムコンサルティング事業本部 ITアーキテクチャーコンサルティング部 上野哲志氏
株式会社野村総合研究所 システムコンサルティング事業本部 ITアーキテクチャーコンサルティング部 上野哲志氏

 野村総合研究所(NRI)の上野哲志氏は、セッションの冒頭、東日本大震災発生後に作成されたサイト「Sinsai.Info」を紹介した。震災時の位置情報とツイッターのつぶやきなどをセットにしたもので、「この病院では今、こういうことに困っている」などの情報を共有できる。これはボランティアが、ニュージーランド地震の際にも多方面より活用されたクラウドソーシングツールUshahidiで構築したもので、上野氏が注目したのは、サイトが震災発生日の19時には立ち上がっていたという事実だ。上野氏は「これこそビジネスが求めている要件、スピード感ではないか」と指摘する。

 一方、実際のビジネスでは、せっかく良いアイデアがあるのに、提供システムの開発に手間取った結果、ライバル企業に出し抜かれてしまう、というような事例も見ることができる。これは、従来の開発手法が、時代が求めるスピードを実現できていないことを意味している。

 では、スピードが速く、競争優位性を実現するITライフサイクルとはどういうものか。それをNRIではQuickWinと呼んでいるのだが、大きく3つのスピード化のポイントがある。まず導入をスピーディに行う。維持局面では、変化への対応を柔軟に行う。導入したものを陳腐化させずに、価値を保ち、向上させながら使い続けていく。そして、コモディティ化や不要になった際には、迅速に捨てる。

アジャイル開発とSOAで競争力領域のシステムを再構築

マーチャンダイジングの柔軟な運営を実現した小売業A社
マーチャンダイジングの柔軟な運営を実現した小売業A社

 ここで上野氏はスピードを手に入れるため、システムの再構築に取り組んだ企業の事例を紹介した。製品開発から販売まで行っている小売業のA社は、要件定義の部分はIT部門で行い、開発は4社のベンダーに分担を分けてアウトソースしていた。それぞれに業務ノウハウも蓄積され、非常に安定したパフォーマンスを出していたのだが、ビジネス環境の変化で、従来の領域を越えた連携が求められるようになってきた。そうなるとベンダー縦割りのアウトソースでは、クロスした施策を打ち出すのに時間がかかる。

 そこで、企画・開発・生産・供給・期中コントロールといったマーチャンダイジングの柔軟な運営こそが競争力の源泉と見極めたA社では、事業領域を横断するマーチャンダイジングシステムを内製することを決断した。IT部門がビジネス部門と密着してWebベースのシステムを開発し、7割の出来で現場に投入。1~2週間試行して、その結果を戻す。まさにアジャイル開発を導入していった。結果として改善のサイクルが、月単位で行われていたものが、週単位の回転に変わった。付随してシステム規模が、20分の1以下になり、ITコストが売上高比約2%だったものが1%以下と50%削減できた。

 続いて紹介されたのは製造業の事例で、30年間の事業拡大・業務変革の対応が、システムのメンテナビリティの低下、高コスト構造を生んでいた。その状況を打開するためにまず、業務プロセスを非競争力領域と、競争力領域に仕分けした。その結果、70%を占めていた非競争力領域にはパッケージを適用して業務をシンプル化した。一方、競争力領域はスクラッチで開発。すべてのシステムを再構築するのが理想論だが、そこまでのパワーと時間はかけられない。そこでSOAを使ったシステム構造を指向した。インタフェースをある程度標準化し、既存システムを疎結合する。同時にマスタデータの再設計も行っている。ここでポイントになったのは、関係する各部門からディテールが分かり、意思決定もできる人を集めてコアチームを作り、さながら「7人の侍」のごとく躍動的に推進していったことだ。その結果、システムの整合性と検討スピードを手の内にすることができた。

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求められるスピードを実現するITアーキテクチャモデルとは

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