ビジネス側とIT側のギャップを埋めるサービスマネジメントとは
10月6日開催のIBM Pulse Japan 2011は、IBM CorporationのVice President、Joao Perez氏による「インテグレーテッド・サービスマネジメントでビジネス・イノベーションを実現」と題する特別講演で開始された。
基調講演でPerez氏は、IBMは同社が提唱するスマートプラネットやスマートシティという構想の中、電力や、交通、建築などの都市インフラそのものの連携によるスケールによって、エネルギーや情報の可視化、コントロール、予測といった知見と膨大な技術を集約していることを紹介した。とくに米国においては、ビジネス・インフラやサービス・チェインの可視化、コントロール、オートメーション化によるさまざまなプロジェクトが進められている。その事例として、オランダのスキポール国際空港、ロールス・ロイス、GE(ゼネラル・エレクリック)などのサービス・マネジメントのプラットフォームのプロジェクトが紹介された。
IBMのサービスマネジメント・インフラとは、企業のシステム運用管理基盤であるとともに、インフラの連携とマネジメントに関わるここ数年の成果が反映されているようだ。
Perez氏の講演に続き、日本アイ・ビー・エムのTivoli事業部事業部長の荒川朋美氏が登壇。「事業の継続と成長を実現する戦略的クラウド活用とサービスマネジメント」と題し、日本の市場の特徴も踏まえつつ、サービスマネジメントのチャレンジについて語った。まずIBMなどが行った調査では、ビジネス側のITへの期待が高い一方、IT側は応えられていない現状が明らかになっている。実際、多くの企業でITの予算は減っており、さらに保守にかかるコストが大きいため、中々新しいことを始められない。
荒川氏は、このビジネス側とIT側のギャップを埋め、いかにITのインフラ、テクノロジーをビジネスの価値に変化させていくかが、サービスマネジメントにおける非常に大きなポイントだと指摘する。その第一段階として、ITは低コストで柔軟である必要がある。そこで昨今、日本市場でトレンドとなっているのが、クラウドというスタイルだ。実際、クラウドの普及は目を見張るものがあり、現在ではITインフラの標準的なツールの一つとなっている。
そこで浮上してくる「インフラの課題」が、これらの身近になったクラウドの管理であり、特に「自社内のプライベートとパブリックのクラウドをどのように繋いでいくか」になる。両者のデータ連携では、IBMにはCastIronというクライアントの製品があり、ユーザーはオンプレミスとオフプレミスのどちらを使っているのか、全く意識することない環境を提供している。また外部環境利用時におけるセキュリティは、物理アプライアンスの技術を仮想環境に入れたVSP(Virtual Server Protection)という製品が担う。
さらにイベント当日、発表されたのが企業内システムとパブリック・クラウド上のシステムを統合して運用管理するためのソフトウェア「Service Management Extension for Hybrid Cloud」になる。これはTivoli製品およびCast Iron 製品のユーザーに無償で提供されるオプション製品で、オンプレミスとオフプレミスを同じレベルで監視することを可能にする。さらに社内システムのリソースが不足した際、パブリック・クラウドを自動的に割り振る、ダイナミック・プロビジョニングも実現している。