先週は、Oracle Open World(OOW)の取材で渡米していた。とはいえ、出張中の天気は、ほとんど曇りか雨。カリフォルニアの気持ちのいい気候を満喫する、というわけにはまったくいかなかった。さらに悲しくなるスティーブジョブズ氏の訃報が飛び込み、あの数日間の天気は涙雨だったのかなぁと思ったり。サンフランシスコのApple Store前には、たくさんの人が集まり、彼の死を悲しんでいた。
グリッドからクラウドへ
さて、天気は悪く肌寒いサンフランシスコではあったけれど、相変わらずOracleの発表は熱を帯びたものだった。OOW前にすでに発表したものも含め、まずはハードウェアとソフトウェアを一体化させた"Engineered Systems"系の発表が相次いだ。その中でも注目だったのが流行のHadoopを含んだOracle Big Data Appliance、そして第3のExaシリーズとなったOracle Exalyticsだろう。
双方とも価格や提供時期など詳細情報はまだ正式発表されていないが、市場からの期待感は高そうだ。Big Data ApplianceはEMCのGreenplumとの競合が起こりそうだし、Exalyticsのほうは、インメモリデータベースのSAP HANAあたりと当たりそうだ。さまざまな選択肢が増えるので顧客サイドからは歓迎されることではあるが、新たなテクノロジーを見極める目を持たなければならないので、別な苦労も強いられそうだ。
もう1つ、あまり日本では目立たなかったかもしれないが注目だなと思ったのが、Oracle Enterprise Manager(OEM) 12cの発表だろう。これまでの11gからのメジャーバージョンアップであり、"g"から"c"へ、つまり「グリッド」から「クラウド」へと変化したのだ。今後のDatabase製品も、バージョン番号表記はこの12cへとアップするようだ。残念ながら、今回のOOWでは次期バージョンOracle Database 12cの話は出なかったが、現状よりさらに進んだ「クラウドを実現するための機能」が実装されてくるのだろう。ちなみに、OEM 12cでは、Exaシリーズの管理をより深いレベルでできるようになっており、さらにハードウェアや仮想化レイヤーまで含むインフラ管理の強化、リソースを利用した分だけ課金できるような仕組みなどが含まれており、一足先にクラウド対応機能の充実が見られるものとなっている。