ブレードサーバ搭載のHANA搭載のアプライアンスが登場
6月28日、日本ヒューレット・パッカードが発売を発表した「HP AppSystem for HANA Scalable XL」もHANA搭載のアプライアンスです。まず驚いたのが最小構成約7,000万円(!)からというそのお値段。メインフレーム並みの価格にかなりビビってしまいましたが、日本HPの山中伸吾氏によれば「ビッグデータ分析はITソリューションにおいても投資金額が張る分野。シンプルでスケーラブルなビッグデータ分析を可能にし、年末に発表予定のHANA SP5がリリースされれば、OLTPも1つの筐体内で実行できる」とのこと。機能と相場を考えると決してお高いものではないそうです。HPが提唱する"Converged Infrastructure"を反映し、サーバもストレージもネットワークもオールインワンな設計、つまり「ユーザは電源を入れるだけでいい」(山中氏)という導入の容易さも特徴のひとつです。
ちなみにこの製品、世界初のブレードサーバ搭載のHANAアプライアンスで、最大640コア&メモリ8TBまでスケールできます。この最大構成って、いったいお値段はどこまでスケールするんでしょうか…。どんな事例で採用されるのか、非常に興味深いところです。
この発表会は日本HP主催だったのですが、ゲストスピーカーとしてDB OnlineでもおなじみのSAPジャパン 馬場渉氏が登場しました。発表会などではいつも刺激的なフレーズを連発してくれるので、メディアには大変ありがたい存在のMr. HANAですが、今回もなかなか強力なメッセージを発してくれました。
「海外の人が日本企業のITを見るとあまりの複雑性に驚く。なぜここまで複雑化するのかと。その理由は日本人は分割、複製、コピーがだいすきだから。政治と一緒で基本的に統合のビジョンがない。DBを統合すると部門間の調整が必要になるが、それをすごくいやがる。したがって部門ごとのきめ細かい、"そこまでやるか"という過剰品質システムが生まれる」(馬場氏)
ようは、だからこそHP AppSystem for HANAみたいなシステムでデータベースまわりをシンプルにしましょう、というコトなんですが、たしかに分割を繰り返したシステムって統合するのはかなり難しい。データベースにしろアプリケーションにしろ、今後は"統合"が注目のキーワードになるのかもしれません。
世界最速なインメモリデータベース、MemSQL
インメモリデータベースが注目されるのはやはりその高速性ゆえなのですが、ここ最近、"世界最速"なインメモリデータベースとして露出が高いソフトウェアが「MemSQL(http://memsql.com/)」です。MySQL? と一瞬空目しそうになりますが、実はMySQL互換のインメモリデータベース。MySQLの30倍とも言われる高速性が最大のウリで、すべてのSQLコードをC++に変換してワークロードを削減することでパフォーマンスの向上を実現しているそうです。またインメモリデータベースでありながら、リレーショナルなインタフェースが使えるという点も特徴のひとつ。もちろんMySQLノードとの共存も可能です。無償版は用意されていませんが、10GBまでのトライアル版がサイトからダウンロードできます。64ビットLinux上で動き、Red Hat、Ubuntu、SLES、Debianなどメジャーなディストロにはほとんど対応している点もうれしいところ。
Facebook出身の2人の技術者が2011年にサンフランシスコでローンチしたMemSQL、これまでに500万ドルの資金調達も果たしており、投資家たちの評判も上々とのこと。資金提供者にはY Combinatorや俳優のアシュトン・カッチャーなども名を連ねています。今後は金融やバイオ、製造業などでの採用を狙っていくそう。ビッグデータ界隈の期待のベンチャーがまたひとつ登場したといえそうです。