ちょっと気が早いけれど来年のキーワードは「インメモリ」
今年のエンタープライズITのキーワードといえば、相変わらず「クラウド」が元気。さらに、一気に頭角を現しているのが「ビッグデータ」だろう。そして、ひたひたと定着の兆しが見えるのが「アプライアンス」か。これらすべてが、なんらかの形でデータベースとも関わっており、改めてデータベースを取り巻く世界は、これからもどんどん進化がありそうでキャッチアップが大変そうだと思うところ。
来年はクラウドはもう定着してしまい、あえて注目のキーワードと呼べる存在ではなくなるのではと個人的には思っている。一方で、ビッグデータについては、今年以上に盛り上がりを見せることになるだろう。そんな状況の中、昨年くらいから頻繁に耳にするようになったキーワードの1つに「インメモリ」がある。SAP HANAの登場がこれを後押ししているのは間違いない。9月にはOracleも新たなインメモリデータベースのアプライアンス製品を発表するなど、にわかに盛り上がりが加速している感がある。
そんな中、先週は、SAP HANAのユーザー事例の発表があった。英国の公益事業の事例で、スマートメータから上がってくるデータをインメモリデータベースでリアルタイムに処理しているというもの。従来どちらかというと通常のデータベースのメモリキャッシュ的に機能させ、高速化する手段として用いられるものが多かったが、メモリ空間が飛躍的に拡大しインメモリデータベースと呼ばれるようになってからは、大量データをリアルタイムに処理する部分でのニーズへの対応が強くなっているように思われる。これはつまりは、ビッグデータの処理の話であり、その仕組みをアプライアンスで提供するのがSAPやOracleのソリューションなわけだ。ということで、今後注目のキーワードが満載の状況。
そんな注目のインメモリデータベース、もちろんIBMもプレイヤーの一人、IBM solidDBという製品を提供している。あまりニュースにはならなかったようだが、10月26日には、IBM solidDB V7.0という最新版の提供も開始されている。同社のDB2やInformixだけでなく、ライバルのOracleにも対応するもので、V7.0ではプロシージャ言語の互換性が向上し、さらに他社データベースなどとの連携も容易になり、拡張性や性能の向上も図られているとのこと。DB Onlineでは来年にかけ、これら注目のインメモリデータベースの特集を組む予定だ。