SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Security Online Day 2025 春の陣(開催予定)

2025年3月18日(火)オンライン開催

Enterprise IT Women's Forum

2025年1月31日(金)17:00~20:30 ホテル雅叙園東京にて開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

DB Online Weekly

今年のIT業界流行語大賞は「ビッグデータ」で決まりでしょう―先週のデータベース界隈の出来事


2011年、世相を表す今年の漢字は「絆」だそうで、これ「キズナ」あるいは「す」を送って「ホダす」とも読める。で、「絆す」という場合は、「人の行動を縛る」という意味があるそうだ。きずなのイメージからは、ちょっと想像しにくいかな。未曾有の災害で、何かと縛られる状況に陥って、そんな中で絆の大事さも改めて知った年ではあった。2012年は、なんとかして楽しく、わくわくするようなイメージの漢字が選ばれる年に、なって欲しい。

ネットアップのビッグデータは「ABC戦略」

 ところで、エンタープライズITの一年を振り返ってみれば、災害対策なども話題になったけれど、やはり一番のブレイクは「ビッグデータ」だろう。ここ最近のイベントやセミナーでは、この言葉があちらこちらにちりばめられている。

 とはいえ、このビッグデータ、定義は今ひとつはっきりしない。いったいどれくらいの大きさだとビッグデータになるのか。さらには、非構造化データは必須なのか。リレーショナルデータベースで処理していると、たとえ巨大なデータでもビッグデータと呼ばないのか。定義は曖昧で、語る人の立場などにより異なるのが現実だ。そういう意味では、まだまだ「バズワード」の域を出ていない。

 そんな中、ストレージベンダーのネットアップが自社のビッグデータ戦略に関する説明会を開催した。ネットアップの見解は、「ビッグデータは単一のものではない」というもの。分析(Analytics)、帯域(Bandwidth)、コンテンツ(Contents)という3つのエリアがあると言い、これらの頭文字をとってビッグデータの「ABC戦略」と呼んでいるとか。分析は、多くのベンダーが参入しているHadoopを活用する領域だ。Apache Hadoopのディストリビューターとしてリーダー的なポジションにあるClouderaと協業しているところに、同社の優位性があると言う。

 帯域は大量のデータをいかに迅速に処理できるかという性能に影響を与える領域。ターゲットとするのは、ハイパフォーマンス・コンピューティングなどの領域だ。ここでは、オープンソースのクラスタファイルシステムLustreを活用するとのこと。

 コンテンツ部分は、従来同社がストレージベンダーとして実績ある、大容量のコンテンツリポジトリのソリューションが対象とする分野だ。多くのベンダーが「Hadoop = ビッグデータ」と位置づけているが、すでにストエージベンダーとして実績ある部分もビッグデータ領域にマッピングしてしまうあたりは、マーケティング戦略としてはちょっと興味深い。この3つの領域をうまく連携できたりすると、独自の次世代ビッグデータ戦略へと進化しそうだ。とはいえ、「ABC戦略」というネーミングは、ちょっと無理矢理っぽくてあまりいけてるとは思えないけれど。

MSでは社内のビッグデータから

 12日には、マイクロソフトが「Big Dataを現場力にカエル ーマイクロソフトからの現実解ー」というテーマで、SQL Server 2012のBI、データウェアハウス機能を中心に紹介するイベントが開催された。この中でマイクロソフトのビッグデータ戦略の現実解が示された。マイクロソフトの言い分は、「まずは社内のビッグデータから」。まだまだ社内に蓄積されている膨大なデータを生かし切れていないのが、多くの企業の現状。まずは、それらをきっちり活用するのが先でしょうというわけだ。

 そこで、重要になるのがBIやデータウェアハウスなど、これまでに着実に進化を続けてきた機能群だ。SQL Server 2012ではそのあたりより一層強化されており、それらをうなく使えば社内のビッグデータ活用ができるようになると言う。とはいえ、マイクロソフトのビッグデータ戦略はそれだけではない。Hadoop on Windows Server、そしてHadoop on Windows Azureといった流行の機能もきっちりと準備しているらしい。そして、HadoopとSQL Serverを連携させるコネクタの提供も既に行っている。この「Microsoft SQL Server Connector for Apache Hadoop」は、マイクロソフトのサイトからダウンロードできるので、興味のある人は試してみてはいかがだろうか。

HPの半導体メモリアレイならExadataより速い!

 Itaniumから手を引いたOracleに対し、何かと対抗意識を燃やしているHP。今度は半導体メモリアレイを新たに提供開始し、これを使えばOracle Exadataより速いという発表を行った。この半導体メモリアレイ「HP VMA」は、不揮発性メモリを大量に搭載した製品で、サーバーからは普通のストレージのように扱える。似たような製品となるSSDでは、ハードディスクとの互換性を確保するために間にRAIDコントローラーなどが挟まり、それがボトルネックになる。対してVMAは、サーバーやSANゲートウェイのPCIeに直接接続できるので、ボトルネックが発生しないのだ。なので、極めて速い。

 SASのハードディスク応答速度が5ミリ秒くらい、VMAはそれが100マイクロ秒くらいになる。つまりは、データへのアクセスが50倍速くなることに。実際にはどんな処理が速くなるかというと、バッチ処理だ。北米の金融サービス企業で動いていたシステムをOracle ExadataとこのVMAでベンチマーク比較を行ったところ、ETLの処理でExadataが7.1分のものがVMAでは5.1分、クエリーの実行時間ではExadataが16秒かかるものがVMAでは4秒しかかからなかったとか。このベンチマークの詳細は、HPのサイトでホワイトペーパーとして公開されている。詳細を知りたい人は、そちらを参照して欲しい。

 バッチ処理に限定するならば、こういうコストパフォーマンスに優れた選択肢があるというのがHPの主張。ターゲットは、ずばりOracle ExadataやIBM Netezzaのようなハードウェアとソフトウェアが一体化した専用マシンだそう。HP VMAなら、どんなデータベースも動くのが売りだ。HPだけでなく、メモリを活用しバッチを高速化するソリューションは、今後さまざま登場してくることも予測される。どんなにチューニングしてもこれ以上バッチ処理が速くならないと悩んでいるあなた、一度半導体メモリアレイというものを検討してみてもいいのかもしれない。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
DB Online Weekly連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/3671 2012/02/10 18:24

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング