AMDと米国エネルギー省(DOE)は、オークリッジ国立研究所(ORNL)に、AIとHPCにおける米国のリーダーシップ拡大を目的とした、2つの次世代システム「Lux AI」スーパーコンピュータと「Discovery」スーパーコンピュータを導入すると発表した。
DiscoveryとLuxは、科学、エネルギー、国家安全保障の分野における進歩を推進するために設計されたDOEの主力スーパーコンピュータ。両システムは、AIを活用した科学の発展を加速し、国家競争力を強化し、国家にとって安全で自立したAIインフラを推進することで、米国AI行動計画を直接的に支援するとしている。両システムは、完全導入されると官民合わせて10億ドルの投資となり、DOEは、米国のAIと科学研究のための、安全で統合されたインフラストラクチャを構築できるようになるとのことだ。
Lux AIスーパーコンピュータは、ORNL、AMD、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)、HPEが共同開発し、「AMD Instinct MI355X GPU」「AMD EPYC CPU」「AMD Pensando」ネットワーク技術を搭載し、2026年初頭に導入される予定だという。これは、米国初のAIファクトリー・スーパーコンピュータになるとのことだ。
Discoveryスーパーコンピュータは、次世代AMD EPYC CPU(コードネーム「Venice」)と、国家AIおよび科学計算向けに特別に設計された新しいMI400シリーズアクセラレータ「AMD Instinct MI430X GPU」を中核とする。MI430Xは、米国が国内で構築したシステム上でAIモデルのトレーニング、シミュレーション、展開を行うことを可能にし、国家データと科学競争力の保護を実現すると述べている。
Lux AIスーパーコンピュータ
科学、エネルギー、国家安全保障に特化した米国初のAIファクトリー。発見とエンジニアリングの変革を加速させるAI基盤モデルのトレーニング、微調整、展開を目的として構築されているとのこと。データ集約型およびモデル中心のワークロード向けに最適化されたアーキテクチャを通じて、AI主導の科学を加速するように設計されているという。
Discoveryスーパーコンピュータ
「Bandwidth Everywhere」設計を採用しており、サイエンスおよびAIアプリケーションを効率的に実行し、生産性の高い成果をもたらすとしている。Frontierがこの取り組みの基盤を築いたとのことだ。同社の次世代スーパーコンピューティングプラットフォーム「HPE Cray Supercomputing GX5000」と組み合わせることで、一貫性のあるプログラミング環境を構築し、ユーザーのスムーズな移行を実現すると述べている。
Discoveryの主なポイント
- あらゆる場所で帯域幅を実現:第1世代のエクサスケールマシンと比較して、メモリ容量、ノード、グローバルネットワーク帯域幅が向上し、サイエンスとAIアプリケーションが加速
- シームレスなユーザー移行:Frontier用に構築されたアプリケーションは、Discoveryが成功したプログラミング環境を継続するためシームレスに移行する
- より高いコンピューティング、同等のエネルギー:同等の電力コストで、より多くのAIと成果が得られる
- オープンスタンダード:オープンソース・ソフトウェア、オープンスタンダード、オープンサイエンスに基づいて構築され、AI主権の基盤を提供
ORNLは、2028年にDiscoveryの納入を受け、2029年にユーザー運用が開始される予定だとしている。
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