SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Data Tech 2024

2024年11月21日(木)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

EnterpriseZine Press

見る前に跳べ~ギークの工夫で社会を変えよう―及川卓也氏がデブサミで講演

「Developers Summit 2012」レポート


昨年開催された「Developers Summit 2011」(通称、デブサミ)にてベストスピーカー賞に選ばれたHack For Japanの及川卓也氏が、10回目を迎える今回の「Developers Summit 2012」で初日2月16日の講演に登壇した。今回及川氏は「見る前に跳べ~ギークの工夫で社会を変えよう~」というテーマで講演し、満員の聴講者を引きつけた。

過去の開発スタイルと現在の開発スタイル

 講演の冒頭で及川氏が取り上げたのは、フェイスブックのIPO時に話題となった同社CEO、マーク・ザッカーバーグ氏の「Done is better than perfect(完璧を目指すよりまず終わらせろ)」という言葉だ。及川氏は、「これこそが今のソフトウェアサービスの開発の源だ」と話す。

Hack For Japan、グーグル エンジニアリング シニアエンジニアリングマネージャ 
及川 卓也氏

 及川氏は、従来のパッケージソフトやレガシーシステムと、現在主流となりつつあるクラウドベースのサービスとの違いについて、同氏がマイクロソフトに勤務していた当時を振り返り、「パッケージソフトでは、デプロイや配布のためのコストが大きく、一度流通させたものをリコールすることはありえないことだった。そのため、製品を流通させるには完成度を高くすることが求められた。Windows Vistaの開発に5年を費やしたのもそのためだ」と述べる。

 それがクラウドサービスだと「例えば翻訳のちょっとした間違いなどはすぐに修正できる。ソフトウェアの更新も、配布コストはゼロに近い」(及川氏)。つまり、パッケージソフトはリリースするまで非常に時間をかけて確認作業をし、リリースすれば一段落となるが、クラウドではまずサービスをいち早くリリースし、リリース後も常に改良を重ねていく方法がとられるのだという。

図:ローンチ&イテレート

 「どちらの開発においても、計画、設計、実装、安定、リリースという工程を繰り返すが、パッケージソフトの場合とクラウドサービスでは期間の長さが全く違う。パッケージは大きな階段のステップを一つひとつ上るイメージだが、クラウドは小さなステップを少しずつ上る。階段の段差は非常に小さいが、クラウドサービスは日々進化していくのだ」(及川氏)。

プロダクトアウトとマーケットインの組み合わせ

 パッケージとクラウドでリリースまでの時間に差があることは分かったが、開発の考え方として、開発者側がいいと思うものを提供する「プロダクトアウト」と、市場調査などで消費者の声に耳を傾けた上で提供する「マーケットイン」という考えがあるのはどの世界でも変わらない。及川氏はこの2つの考えに一長一短があると話す。

 例えばマーケットインのためにユーザーの意見を集めても、ユーザーがインセンティブによって真意ではない意見を述べることがあるほか、声を出さないユーザーもいる。また、そもそも新たな市場を作り出そうという場合は、市場が存在しないのに市場調査をしても意味がないというのだ。

 そこで及川氏は、プロダクトアウトとマーケットインの組み合わせを勧めている。「完成度が低くても、プロダクトアウトでサービスをまず提供する。ウェブベースのサービスであれば、ユーザー数がどれだけいるのか、使い続けているのかを把握するのも簡単だ。しかもどのリンクをクリックしたのかも分かり、声に出さないユーザーの意見をくみ取ることができる」(及川氏)。プロダクトアウトとマーケットインを容易に組み合わせられるのも、まさにクラウドならではといえる。

 また及川氏は、「ユーザーが誰か」を常に意識するよう忠告する。「ユーザーは、今ある製品やサービスについて“顧客の声に耳を傾けろ”と主張するが、それは今日のユーザーの声だ。しかし、開発者は今日のユーザーのためだけに開発しているわけではなく、明日のユーザーも視野に入れなくてはならない。明日のユーザーに向けて開発すれば、今日のユーザーも満足してくれるだろう」(及川氏)。

次のページ
何が競合かを見極めよ

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
EnterpriseZine Press連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

藤本 京子(フジモト キョウコ)

フリーランスライター。米国の大学院で言語学修士号を取得したのち、米出版社や東京都内の英文雑誌出版社、オンラインメディア企業などで記者として勤務。独立した今は、ITやWebビジネスを中心に執筆と翻訳を手がける。IT以外の得意分野は英語ネタとオフィス(主に社食)ネタ。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/3798 2012/02/28 17:42

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング