6月11日に実施された、イベント「BizGenerationカンファレンス2012」(主催:翔泳社)。今回は、小山龍介氏の講演内容をレポートします。小山龍介氏は、新規事業立ち上げのコンサルティングやファシリテーションに関わる中で、実際にビジネスモデル・キャンバスを活用しています。そういった実戦での経験を踏まえ、同ツールが会社の中で共通言語を取り入れたい時にいかに活用でき、未来シナリオの比較検討にも有用であるかを説いていきます。

2012年6月11日に実施された、「ビズジェネカンファレンス2012」のカンファレンスレポート「経営視点のビジネスモデル・ジェネレーション」(PDF版)を、アンケートにお答え頂いた方全員に漏れ無くプレゼントいたします。
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わたしの仕事とビジネスモデル・ジェネレーション
本業として新規事業の立ち上げのコンサルティング、ファシリテーションに関わる中で、BMGで紹介されている「ビジネスモデル・キャンバス」が、実務でも非常に効果的であると実感しています。それもそのはず、同ツールは9年をかけて現場で叩き上げられてきたといいます。
ビジネスモデル・キャンバスの力点は「価値がどのようにつくられるか」と「顧客に届く事」の二つといえます。これらが論理的に繋がるように巧く設計されているのがポイントでしょう。

ビジネスモデル・キャンバスの強み(1) 共通言語の構築
例えば、アップルのビジネスモデルを文章で説明するのは難しい事です。100人に聞けば100通りの答えが返ってくるでしょうし、それぞれにフォーカスしているポイントが異なるでしょう。それに対し、ビジネスモデル・キャンバスを用いて図示すると、直観的に全体像を把握することができます。
これまでのビジネスモデル議論は、特許やシステムなど部分にフォーカスし議論が散在していたのに対し、ビジネスモデル・キャンバスは全体像を、共通言語を用いて構築することを助けてくれると言えます。
ビジネスの議論は、得てしてバラバラに成りがちになります。営業は営業。収益構造の話は収益構造の話などといったように部分ごとに議論が閉じてしまい、各部門同士が全体像を共有することは困難でした。一方で、ビジネスモデル・キャンバスは、ビジネス全体。像の抜けや漏れを防ぐ事を可能にします。
このビジネスモデル・キャンバスを用いたワークを最近おこなうことが多いのですが、参加された方にキャンバスを書いて頂き、自分の職種がどこに当たるかを説明してもらうようにしています。
例えば、「自分の会社はパソコンを作り、売っているが、自分はその中でこういうところで活躍していたのか」というように、全体の中で自分の位置を把握することを助けてくれます。
ビジネスモデル・キャンバスの強み(2) 比較検討を可能にする
ビジネスモデル・キャンバスが一つのフォーマットを持つ事も、また違った効果を発揮します。複数のモデルを比較検討できるということは、予測出来ない外部環境シナリオを取り込む事に貢献してくれます。
例えば、製薬業界の未来シナリオを考えてみよう。

考えられる軸は「予防医学が主要な収入源となる」か「治療が主要な収入源になる」。そして、パーソナライズされた医療が「中心的なサービスになる」場合と、「一時的なブーム」の場合です。こういった2×2(時には3×3)の多様なシナリオを考え、実際に描く事で未来に対する準備を初めることができます。
これまでビジネスプランは、「アイデアがあったらプランに落とせ」という考え方が一般的でした。その結果出来上がった計画書は、何十ページにも及び、直観的な全体像の把握が難しいものでした。
< 今後は、アイデアがあったら、まずはビジネスモデルに落とし込むことが重要といえます。そこで、仮説と検証のプロセスを踏まえることで、ビジネスモデル提案の精度を格段に高めてくれると言えるでしょう。
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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
「EnterpriseZine」(エンタープライズジン)は、翔泳社が運営する企業のIT活用とビジネス成長を支援するITリーダー向け専門メディアです。データテクノロジー/情報セキュリティの最新動向を中心に、企業ITに関する多様な情報をお届けしています。
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