サーバーやストレージなどのハードウェアも分かって、初めて、データベースエンジニア
そんな部門の中で、井上さんはOracle Database技術に特化したエンジニアだ。実績も経験も豊富なOracle Databaseについて、井上さんは「機能的にも豊富で、エンジニアとしてチャレンジのしがいがあるデータベースです」と評する。とくにここ最近は、Oracle Databaseの機能の豊富さを実感させられることが多いとか。かつてはデータベースと言えば、SQLで処理を行うエンジン部分を把握していればそれで良さかった。ところがいまでは、Real Application Clustersを構成するためのクラスターウェアもあれば、性能に大きく影響するストレージ管理の知識がないと、胸を張ってデータベースエンジニアとは言えない時代。「いまは、サーバーやストレージなどのデータベースに関連するハードウェア技術も分かって初めてデータベースでしょうという感じですね」とのこと。
いままではストレージやサーバーのクラスター構成などは別途ハードウェアのエンジニアが担当し、技術的には分業してき。それがいまでは、データベースのエンジニアが1人で管理する時代。ハードウェアのファームウェアバージョンの確認も行えば、ファームウェアのパッチあてもデータベースエンジニアの仕事に。「こんなことまでデータベースエンジニアの仕事なのかと思うと、始めは『はぁ』とため息が出ました」。
とはいえ、逆の見方をすれば、すべてをデータベースエンジニアが把握できる。顧客に対しシステムのことをなんらか説明する際にも「いまはデータベースエンジニアがまとめて回答できます」。いまのエンジニアは、このまとめて回答するができるように、仕事のやり方を変えなければならないと井上さんは指摘する。
ストレージのことはASMに任せられる幸せ
昔は、1本あたりのディスク容量も小さく、大量データを扱おうとすればおのずとディスクを分散させて利用することになった。なので、その環境で効率的で高性能が発揮できるよう工夫したデータベース設計が必要となった。ところがいまでは、ディスク容量は1本で3テラバイトもある。分散せずに1本にデータが収まってしまう。こうなると、データベースの物理設計は工夫のしようがあまりなく「むしろ、設計は難しくなった」と井上さん。結果的には設計で解決するのではなく高価で高性能なストレージを採用し、大量のキャッシュで性能を上げるといった提案になりがちだとか。
これに加え、いまではフラッシュメモリもある。ストレージやフラッシュメモリをどう組み合わせて効率化、高速化するかもデータベースエンジニアに求められるスキルに。そんな新たな環境の中で、技術的な工夫をどうしていけばいいかを考え始めたころ登場したのが、OracleのエンジニアドシステムズOracle Exadataだ。1つの筐体の中に、新しいハードウェア技術がすべて詰まっている。何もチューニングしなくてもかなり高性能。とはいえ、搭載されているハードウェア要素をより使いこなすにはどうしたらいいのか。まさに「物理設計の観点が大きく変わってきたなと感じました」と井上さん。
そんな中でとくに、今後使いこなすべき技術の1つが、Oracle Automatic Storage Management(ASM)だとのこと。Exadataに限らず、Real Application Clustersを利用する際には、ASMの活用はすでに必須になりつつある。
「ASMがやってくれるところがかなり大きいので、ストレージの物理設計についてはほとんど考える必要がなくなりました。ほとんどのことが、ASMに任せられます。」(井上さん)
ASMが登場した当初は、その安定性に不安もあったとか。それがいまではかなり安定していて、技術情報もノウハウも実績も増え、安心して使える。ASMを使ったほうが「Oracle Databaseとしてきちんとログをとってくれる機能などもあり運用性はかなり上がります。もちろん、性能も向上します」とのこと。ASMの存在は、既存のOSが管理するファイルシステム上にデータベースを作る製品とは異なり、Oracleならではの「技術的に先行しているところだと思う」と井上さんは言う。