Think Big 、大きく考えよう
IBMのソフトウェアのカンファレンスは、ソフト開発の「Innovate」、ITサービスマネジメントの「Pulse」、ミドルウェア製品群の「Impact」などテーマと分野に分かれており、それぞれ年次で開催されている。データベース・プラットフォーム製品群をテーマにするこの「Information On Demand」は、その中でも最大規模。今回も世界中から企業のIT部門、経営層、技術者など12000名の参加者で会場は埋めつくされ、キーノートの他数多くの技術セッションや展示がおこなわれた。
今回のテーマは「Think Big」。もちろんビッグデータのことであるが、かつてIBMのモットーとして使われていた「THINK」という言葉をビッグデータの時代に再登場させたことことに、意気込みがうかがわれる。
オープニングに登場したのは、最近のIBMのビッグカンファレンスの「顔」ともいえるシニア・バイスプレジデントのRobert LeBlanc氏。
「世界中のCIOに調査をしたところ、一番の関心はビッグデータだ。2014年にはスマートフォンをはじめとするモバイルのビジネスユーザーは120億に達し、2.7ゼッタバイトのデータが生成されていく。データベースやアナリティクスも伝統的な考え方では通用しない。大切なのはビッグデータのVolume(規模)、多様性(Variety)、速度(Velocity)の3つのVに対応するプラットフォームを作ること。Hadoopはビッグデータのひとつの手段でしかない。アナリティクスと、今すぐリアルタイムにおこなうこと、構造/非構造のデータを統合することが重要だ。そしてそれぞれのアナリティクス・ワークロードに適したパターンを活用することだ。」(LeBlanc氏)
このパターンという用語は、今回のイベントの目玉製品であるPureDataの特長でもあり、IBMのPureSystemsシリーズを貫くコンセプトだ。
「われわれは製品を組み合わせただけではなく、市場や用途に合わせた形で製品を提供する」この言葉が、各講演の中で何度も繰り返される。
これは明らかに、OracleのExadataが単一かつ共通アーキテクチャのシンプル性を強調していることに対抗するメッセージだろう。同じ垂直統合の製品ではあるものの、市場開拓戦略が大きく異なる。IBMはここ数年、M&Aなどを通じて拡大してきた製品群を単純に統合するのではなく、個別の製品をラインアップとしてまとめ、ビッグデータ市場に向けて体系づけていくのだろう。
基調講演の内容も、製品の仕様や技術特性ではなく、ビジネス・社会の変革のストーリーから解説するというのが、IBMのいつものスタンスであり、今回もそれは徹底している。
ビッグデータの事例として最初に登場したのは、ConocoPhillips社のプリンシパル・サイエンティスト Dr.Phil Anno氏。地球上にはまだ25%のエネルギーの未発掘の地域があり、石油、天然ガスなどが存在するという。同社は北極、アラスカ地域に3億5000万ドルの発掘投資をおこない、油田開発にも巨費を投じている。風力、海流、氷山の移動などの大量データを解析するためにIBMのInfoSphereを利用している。IBMとのコラボレーションで培ったのは演算テクノロジーであり、リアルタイムにストリーミングで解析する技術であると語った。