ナンバー・テスト(収支が合っているか)を検証するのが「財務構造」
最初に、ビジネスモデルの全体像のおさらいからスタートしていきましょう(図表1)。価値提案を中心として、右サイドが「価値を提供するためのマーケティング活動」、左サイドが「その価値を作り出すためのオペレーションの仕組み」を表します。価値提案はチャネルを通じて提供され、収益モデルを形成します。他方、リソース(経営資源)を消費するプロセスグループ内の活動は、コスト構造を形成することになります。最終的に、収益からコストを差し引いたものが利益となるわけです。
第4回目の記事で触れましたが、失敗しないビジネスモデルを構築するためには、ストーリー・テスト(話の筋道が通っているか)およびナンバー・テスト(収支が合っているか)の双方に合格しなければなりません。これまでご説明してきた記事がストーリー・テストを検証するものであるとすれば、今回ご説明する財務構造はナンバー・テストを確認するものであるといえます。
さて、今回の論点をご提示しましょう(図表2)。
『ホワイトスペース戦略』を著したマーク・ジョンソン氏(『イノベーションのジレンマ』で有名なクリステンセン氏の同僚)は、利益方程式は以下の4つの要素から構成されると論じています(図表3)。
- 収益モデル:売上や収益の獲得(価格×販売数量で計算される)
- コスト構造:直接費と間接費の割合およびその内訳
- 1単位当たりの目標利益率:間接費をまかない、目標とする利益水準を達成するために必要とされる1回の取引で獲得すべき利益
- 経営資源の回転率:売上や収益を確保するために、経営資源を活用するスピード
ここでは、「収益モデル」と「コスト構造」という2つの主要な要素について話を進めていくことにしましょう。