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クリエイティブ・シフト-パターン・ランゲージによる創造的な組織づくり

組織を「創造的な体質」に変える方法-クリエイティブ・シフトとは?

(第1回) 

クリエイティブ・シフトをもたらす「パターン・ランゲージ」

 組織が創造的であるためには、組織を構成している個々のメンバーが創造的な体質であるとともに、組織としても創造的な体質である必要がある。メンバーと組織のどちらか一方だけでは、創造的な組織にはならない。それゆえ、この二重の要求をいかにして満たすのかが、最大の課題となる。

 クリエイティブ・シフトを実現するために私が有力だと考えているのが、「パターン・ランゲージ」という方法を導入・活用するということである。パターン・ランゲージとは、創造活動の実践知を記述・共有するための方法である。もともとは建築の分野で考案され、ソフトウェア開発の分野で大きく発展し、最近ではより広い範囲の創造的な人間活動の支援に用いられている。このパターン・ランゲージの方法をラディカルに活用しながら、創造的な組織づくりを行うのである。

 パターン・ランゲージでは、創造における経験則が、「パターン」という単位にまとめられる。各パターンには、「状況(Context)」と「問題(Problem)」、そしてその「解決(Solution)」の発想がセットになって記述され、それに「名前(Pattern Name)」がつけられている。パターン・ランゲージの利用者は、自らの状況に応じてパターンを複数選び、そこに記述されている抽象的な解決法を自分なりに組み合わせ、具体化して実践する。

 パターン・ランゲージは、いわゆるマニュアルに比べて、ひとつひとつの項目がかなり「小さな単位」でまとめられている点に特徴がある。たとえば、創造的な学びのパターン・ランゲージである「ラーニング・パターン」では、学びの秘訣が40個のパターンに分けて記述されている。「プレゼンテーション・パターン」や「コラボレーション・パターン」では、それぞれ34個のパターンにまとめられている。そして、建築のパターン・ランゲージでは、いきいきとした町や建物をつくるためのパターンが、なんと253個も提案されている。

 パターン・ランゲージを初めて見た人はたいてい、「こんなに小さな単位でたくさんあって、本当に役に立つのだろうか」と不思議に思うようだ。しかし、この「小さな単位」で「たくさん」あるという点が本質的に重要なのである。パターン・ランゲージは、マニュアルのように「これをこの手順でやるべきだ」という大きな枠にはめ込むのではなく、今の自分のやり方をベースとしながら少しずつ拡張していくことの手助けをする。つまり、各自の現状を肯定しながら成長していくことを支援するために、「小さな単位」で「たくさん」用意されているのである。

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パターン・ランゲージによる創造的な組織づくり

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この記事の著者

井庭 崇(イバ タカシ)

慶應義塾大学総合政策学部准教授。博士(政策・メディア)。専門は、パターン・ラン ゲージ、システム理論、創造技法。マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院 Center for Collective Intelligence 客員研究員等を経て、現職。編著書・共著書に『複雑系入門――知のフ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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