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クリエイティブ・シフト-パターン・ランゲージによる創造的な組織づくり

組織を「創造的な体質」に変える方法-クリエイティブ・シフトとは?

(第1回) 

パターン・ランゲージによる創造的な組織づくり

 パターン・ランゲージを用いることで、組織を創造的にするいくつかの効果が期待できる。キーワードは、「創造の誘発」、「共通言語」、「認識のメガネ」である。

創造の誘発

 期待される第一の効果は、「創造の誘発」ができるということである。パターン・ランゲージによって創造の経験則を知ることで、発見の連鎖が起こりやすくなり、個々人の創造的な活動を後押しする。それと同時に、他のメンバーとの協調的な創造(コラボレーション)も促進させることができる。これが、パターン・ランゲージの「クリエイティブ・メディア(創造を誘発する媒体)」としての機能である。

共通言語

 期待される第二の効果は、創造的な活動を遂行するための「共通言語」になるということである。それぞれのパターンには「名前」がつけられていることから、それを語彙(ボキャブラリー)としてコミュニケーションを図ることができるようになる。これにより、これまで暗黙的で伝えにくかった「創造のあり方」や「実施方法」について言及しやすくなり、やりとりが円滑になる。これが、パターン・ランゲージの「コミュニケーション・メディア(コミュニケーションを促進する媒体)」としての機能である。

認識のメガネ

 期待される第三の効果は、創造活動を捉えるための「認識のメガネ」になるということである。周囲の成功事例をただ眺めていても、「それがなぜうまくいったのか」を把握することは難しい。これに対して、パターン・ランゲージのパターンを介して見ると、うまくいった理由を認識しやすくなる。あるいは、自分のこれまでの何気ない経験に光を当て、意味づけし直し、これからの活動との連続性に気づくこともできるようになる。これが、パターン・ランゲージの「コグニティブ・メディア(認識を可能とする媒体)」としての機能である。

 このように、ふだんは暗黙的に持っている「創造の経験則」を、明示的なかたちでパターン・ランゲージ化することで、創造的な思考やコミュニケーション、認識を誘発・促進し、支援することができるのである。

 パターン・ランゲージによるクリエイティブ・シフトについて、私はここ数年間、企業研修や業界勉強会・学校でのワークショップを多く手がけてきたが、そこで生じる深いレベルの変化には目を見張るものがある。表面的な刺激ではないより深いレベルのシフト、つまりクリエイティブ・シフトが起き始めているのを肌で感じてきた。まだまだ新しいアプローチであり、改善の余地や発展の可能性は大いにあるが、確かな手応えを感じている。

 本連載では、そのようなパターン・ランゲージによるクリエイティブ・シフトについて、基本的な考え方と実践方法を具体的に紹介していく。本連載の内容を本当に理解するためには、頭で抽象的に理解するのではなく、体験のなかで実感することが重要である。そのため、本連載では毎回「Try It Out!」というコーナーを設け、みなさんがすぐに実践できるアクティビティを紹介していく。周囲の人を少しずつ巻き込みながら、ぜひ実際に取り組んでみてほしいと思う。これらの体験をするたびに、世界の見え方、組織への関わり方、未来への構え方が変わっていくはずだ。

次のページ
創造社会(クリエイティブ・ソサエティ)の到来

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この記事の著者

井庭 崇(イバ タカシ)

慶應義塾大学総合政策学部准教授。博士(政策・メディア)。専門は、パターン・ラン ゲージ、システム理論、創造技法。マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院 Center for Collective Intelligence 客員研究員等を経て、現職。編著書・共著書に『複雑系入門――知のフ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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