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前回の連載では、デザイン思考の第二段階である「問題定義」の概要や、キーワードについて解説を行った。今回の連載では、具体的にどうやって問題を設定するのか、3つのツールを紹介しながらその手順について見ていきたい。ツールである「共感マップ」、「キャラクター作成」、「着眼点の穴埋め」のうち、後者2つは個人で練習ができるワークシートも用意している。ぜひ利用して欲しい。
的確なユーザー課題の把握が、効果的なアイデア創造を可能にする
イノベーションにつながるアイデアを生みだすには、「ユーザーが抱えている課題」を的確に捉える必要がある。ユーザーの生活に役立たなければ、どんなプロダクトにも存在価値はない。今回紹介するツールを使うことで、現場調査で集まったユーザーに関わる情報を整理し、ユーザーが抱えている課題を明らかにすることができる。チームで解決すべき課題が定まれば、次のステップで効果的にアイデア創造が可能になる。
課題を明らかにするには、「3つの段階」を経る必要がある。
- ユーザー理解:ユーザーの言動を整理し、考えや気持ちを推測する
- 認識の共有:ユーザー像を統合し、チームで共通認識を得る
- 課題の定義:インサイトを含む着眼点を作成し、アイデア創造へのきっかけをつくる
共感マップでユーザー理解し「インサイト」を発見する
現場から社内に戻ってまず使いたいのが「共感マップ」だ。これは、ユーザーの様子を「発言」「行動」「考え」「気持ち」の4つに分類することで、現場にいたときよりも、深い共感を得るためのツールだ。共感マップを作成することで、ユーザーの情報が整理され、それまでわからなかったインサイトの発見や、発見につながるヒントを得られる。

以下の手順でやってみよう。
- ホワイトボードか模造紙を用意して十字で4象限にわけ、左上に「発言」、左下に「行動」、右上に「考え」、右下に「気持ち」と書く。
- 観察やインタビューによってわかったことをポスト・イットに書き出し、それぞれ「発言」と「行動」に振り分ける。
- 分類した行動と発言をみながら、ユーザーの考えと気持ちについて推測し、その内容を「考え」と「気持ち」に書き込む。ここでもポスト・イットを使うと後で整理がしやすい。
整理が終わったら、次はユーザー像をチームで共有するために「合成キャラクター」を作成しよう。
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柏野 尊徳(カシノ タカノリ)
岡山県出身。専門はイノベーション・プロセス。スタンフォード大学d.schoolでイノベーション手法:デザイン思考を学ぶ。同大学発行の『デザイン思考家が知っておくべき39のメソッド』監訳など、デザイン思考関連教材は公開6ヶ月でダウンロード5万件。岡山大学大学院で3年間教鞭を執った後、慶應義塾大学SFC(湘南藤...
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