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リーンの本質-プロセスコンサルタントが語る、リーンスタートアップの本質とプロセスの功罪

新規事業の「失敗パターン」と「ジレンマ」-プロセスを“目的化”させないリーンスタートアップ

(第1回) 


新規事業の成否は「運用」である-失敗のジレンマから抜け出す方法

 とにかく我流で進めてはみたものの、新たな手法を進めれば進めるほど成果を感じることが出来なくなる・・・。

 企業文化のカイゼンに着手するチャレンジャーに起こる、最大のジレンマです。

 私のところには、チャレンジしたにも関わらず効果が感じられないといった場合や、むしろ新しいやり方の方がずっと非効率になっている気がする、というタイミングで相談頂くことが多くあります。

 こうしたチームの場合、メンバーのみなさんは「自分たちはしっかりと新規事業の立ち上げに必要な手法を理解し、実践してきた。それのどこが悪かったのだろうか?」と頭を抱えています。実際にこうしたチームの活動の記録を拝見すると、実にさまざまな仮説の立案と検証の数々が行われており、ターゲットしているユーザや課題が大きく的外れであるだということもありません。

 こうした資料に目を通した時には、これを実施していながら、良い企画に進化しないというのは実に不思議に感じます。経営陣やマネージャーの後ろ盾によって実施されているとなれば、なおさら不思議です。

新規事業の失敗から抜け出す方法
新規事業の迷宮から、どのように脱出するのか?

 しかし、チームメンバーがこうした手法をどのように「運用していたのか」に話題が移ると、ほとんどのケースで失敗が実は「必然」であったと確信するようになってきます。

 「新たな手法を理解し、それを信じて実行するが故に失敗を招く」という典型的なパターンに陥っているのです。

 新規事業の立ち上げに限らず、新たな手法やプロセスを求めては、このように立ち往生するというケースは実は珍しくありません。既存のやり方にこだわって手遅れになるという事態を避けたとしても、思いがけないところで失敗する事例は後を絶たないのです。

 新たな手法の導入に際して、社内の反対や抵抗に遭うというケースはとても頻繁に発生します。特別な問題意識がない限り、ひとは従来通りのやり方に留まっていたいと思うものです。プロセス改善を行う際に発生する失敗原因ナンバーワンは、ダントツでこれです。社内でのコンセンサスが取れないまま強引に新手法の導入に踏み切り失敗するのです。

 しかし、社内に抵抗勢力がいなくても、多くのチームは新たなプロセスの導入に失敗します。旧来通りのやり方を盲目的に信じることもなく、新規事業の不確実性を理解したからこそ採用した数々の手法。それが結果的に、このチームを崩壊させてしまったというのは「新規事業のジレンマ」です。こうしたジレンマの原因がどこにあるのか見ていきましょう。

次のページ
新規事業の失敗パターンを避けるためには?プロセスは手段であり目的ではない

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この記事の著者

和波俊久(ワナミトシヒサ)

  "Lean Startup Japan"ブログ主宰者。  IT企業でITサービスマネジメント及びプロジェクトマネジメントのコンサルタントを務める傍ら、数々のITプロジェクトの失敗やデスマーチを経験。リーンスタートアップを広く普及するために、2010年10月より&...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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