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リーンの本質-プロセスコンサルタントが語る、リーンスタートアップの本質とプロセスの功罪

新規事業の「失敗パターン」と「ジレンマ」-プロセスを“目的化”させないリーンスタートアップ

(第1回) 


新規事業の失敗パターンを避けるためには?プロセスは手段であり目的ではない

 失敗したチームに「どのように進めていたのか」を確認すると、だいたい以下のような回答が返ってきます。

  1. 旧来の手法に戻らないよう、常に全員でチェックする
  2. 新手法の適用方法が間違っていないか、相互およびマネージャーに適宜確認する
  3. それぞれの手法で不明な点があれば、遠慮なく質問する
  4. 新手法が企業の新たなプロセス標準になるよう、ノウハウを蓄積しながら進める

などなど。

 もうみなさんもお気づきかと思いますが、多くのチームで失敗が起きるのは、新手法の導入自体が「目的化」した結果です。

  • 新しいやり方で結果を出したい」という思いは、
  • チームに「新手法で失敗したくない」という気持ちを引き起こし、
  • せめて新手法のやり方は間違えずに進めたい」と強く思うようになり、
  • 結果的に、「その新手法で何を実現するか」という目的を見失ってしまったのです。
新規事業プロセスの目的化
新規事業プロセスの目的化

 プロセス・コンサルティングの視点から見れば、プロセスは常に目的を実現するためのひとつの手段でしかなく、これが目的化することは絶対に避けなければいけません。これが逆転すると、ほぼ例外なく、志半ばで頓挫します。正しいプロセスが適用されているかの判断は、書籍などに記載されたやり方を実行できているかではなく、「我々は目的に近づいているか?」と、そしてそのプロセスが「目的への到達を促進しているか」の2点で判断しなければいけないのです。

 新しいプロセスを採用したことでチームの進行が遅くなったと感じた瞬間から、そのプロセスの継続は疑う必要があります。そして、時間を犠牲にしてでも、そのプロセスを継続することで最終的には成果を得るのか、それともこのまま継続しても成果は得られないのかを適切に判断するのです。間違ってもプロセス自体に固執してはいけません。新たなプロセスにチャレンジすることがメンバーの才能を引き出す効果があるかもしれませんが、多くの場合は手段を目的化させる結果になるのです。

 さて、これを踏まえて、新規事業の場合にはどのようにプロセスを設計すべきであったかを考えてみましょう。

次のページ
プロセスを目的化させないためには「3つのセット」が重要だ

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リーンの本質-プロセスコンサルタントが語る、リーンスタートアップの本質とプロセスの功罪連載記事一覧
この記事の著者

和波俊久(ワナミトシヒサ)

  "Lean Startup Japan"ブログ主宰者。  IT企業でITサービスマネジメント及びプロジェクトマネジメントのコンサルタントを務める傍ら、数々のITプロジェクトの失敗やデスマーチを経験。リーンスタートアップを広く普及するために、2010年10月より&...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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