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SAPジャパン、軽量RDBMSの新版「SAP Sybase SQL Anywhere 16」の提供を開始


SAPジャパンは10月3日、軽量RDBMSの新版「SAP Sybase SQL Anywhere 16」の提供を開始した。新版では、高速DWHのSAP HANAと直接データを同期できるようにするなど、M2M市場やビックデータ市場におけるデバイス側でのデータ収集、同期、分析基盤としての機能を強化した。

SAPジャパン ビジネスソリューション統括本部 データベースソリューション部長 安藤秀樹氏
SAPジャパン 
ジネスソリューション統括本部
データベースソリューション部長
安藤秀樹氏

 SAP Sybase SQL Anywhereは、モバイル端末や組み込み機器などで広く利用されているRDBMS。もともとはSybaseが買収したiAnywhereが開発した製品で、Windows CE/Mobileから、Linux、Solaris、AIX、Blackberry、iPhone、Androidなどさまざまプラットフォームに対応できることと、データベースの自動チューニングや自動管理機能といったメンテナンスフリーであることが特徴だ。

 OEM提供が60%であるため製品の知名度は低いものの、組み込みPOSシステムや基幹業務シテスム、市販のパッケージ製品(財務会計、ERP、施設管理など)など、世界で1000万コピー、2万社で利用されている。OEMパートナーは1200社、国内では20社だという。国内の採用実績としては、北陸コカ・コーラ、INAXメンテナンス、コマツなどのシステムがある。市販パッケージ製品としては、ミロク情報サービスの会計パッケージNX-Proやビーイングの土木工事積算システムGaiaなどで採用されている。

 ビジネスソリューション統括本部 データベースソリューション部長 安藤秀樹氏は、新版のポイントについて、SAPが推進するリアルタイムデータプラットフォーム(RTDP)を構成する製品の1つであり、M2Mやビッグデータ分析の現場に適用することでリアルタイム性の高いデータ収集や同期、分析ができるようになったと説明する。

 「モバイルやクラウドが進展し、あるゆる場所がビジネスの現場になりえる時代になった。だが、データセンター側がよく管理され自動化が進んでいるのに比べると、データが生成されるリモートの現場側は、通信が不安定でデッドスポットになったり、そもそも管理するIT担当者が不在であったりといった課題がある。新版は、そうした課題に対応した。いつでもどこでもアプリケーションを利用できる基盤として最適だ」(安藤氏)

リアルタイムデータプラットフォームの構成図
リアルタイムデータプラットフォームの構成図

 たとえば、適用事例としては、スマートシステムがある。オーストラリアのCleanPoint社は、スマートグリッドと連携して住宅所有者みずからが電力や家電機器の使用状況を管理できるアプリケーションを構築した。その際、SAP Sybase SQL Anywhere最新版とSAP HANAを直接データ同期し、膨大なデータを安定して高速に処理できるようにした。スマート機器は通信状況が不安定になる場合があるが、ローカルのアプリケーションにSAP Sybase SQL Anywhereにデータを蓄積し、通信が回復したときにHANAと同期することで、安定した高速な処理が可能になったという。

 IVE&ソリューション本部 シニアソリューションエンジニア 磯辺信雄氏
IVE&ソリューション本部
シニアソリューションエンジニア
磯辺信雄氏

 続いて、IVE&ソリューション本部 シニアソリューションエンジニア 磯辺信雄氏による新版の詳しい機能説明が行われた。

 新機能は大きく「SAP HANAとの同期の対応」「パフォーマンスの向上」「24x365運用の強化」「セキュリティの強化」の4つある。

 SAP HANAとのデータ同期については、従来、SAP HANAを利用する際は、Sybase ASEなどのデータベースを介してデータを同期する必要があったが、それが不要になり、分散環境での双方向の同期が可能になった。同期できるデータベースとしては、Sybase ASE、Sybase IQ、Oracle Database、IBM DB2、Microsoft SQL Server、MySQLなどがある。

 パフォーマンスの向上については、クエリーオプティマイザを強化し、マルチCPUとパラレルクエリを高速化した。もともと負荷の高いクエリーについては複数コアに分散して処理する機能が備わっていたが、クエリーオプティマイザの自己チューニング機能を強化することでパフォーマンスを向上させたとのこと。

 24x365運用については、データベースミラーリング機能の強化や、仮想環境でのプロセッサの動的割り当てに対応したを指す。データベースミラーリング機能は、プライマリ(主)、ミラー(副)、アービタ(監視)の3台で構成され、プライマリからミラーに接続先を切り替えることで可用性を向上させるもの。また、プロセッサの動的割り当ては、データベースの負荷が高まってた場合にエンジンを停止せずにリソースを追加できるようにするもの。

 セキュリティ強化については、LDAPに対応しシングルサインオンなどによる管理が可能になったこと、ロールベースのセキュリティモデルを導入したこと、パスワード変更制御のための機能が追加されたことなどを挙げた。

 磯辺氏は、機能強化について、「SQL Anywhereでは、バージョンアップごとに機能強化の範囲を大規模システム向けに広げるというアプローチを採用している。マテリアライズド・ビュー(実体化ビュー)やスナップショット・アイソレーションといった大規模システムに求められる要件もすでに実装済みだ。モバイル向けだけでなく、スマートシステムや大規模システムでも利用できるようになっている」と説明。従来のようなモバイルや組み込み向けRDBMSというイメージからはなれ、大きく進化していることをアピールした。

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この記事の著者

齋藤公二(サイトウコウジ)

インサイト合同会社「月刊Computerwold」「CIO Magazine」(IDGジャパン)の記者、編集者などを経て、2011年11月インサイト合同会社設立。エンタープライズITを中心とした記事の執筆、編集のほか、OSSを利用した企業Webサイト、サービスサイトの制作を担当する。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://enterprisezine.jp/article/detail/5221 2013/10/03 18:02

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