前編では、OpenStack、CloudStack、Cloud Foundryなどに代表されるオープンソースのクラウド基盤ソフトウェアなどを採用した「オープンクラウド」のビジネス動向やオープンクラウド・エコシステムの最新動向を整理した。後半は、オープンクラウドのアーキテクチャーやユーザーのメリットに焦点をあてて整理する。
オープンクラウド実現のための5つの要素
オープンクラウド実現にはオープンなAPIの実装をはじめ、以下の5つの要素が必要と考える。
- オープンなAPIの実装
- オープンソースベースのクラウド基盤やプラットフォーム環境が開発コミュニティにより共同で開発
- オープンソースプロジェクトの豊富な運用経験を持つ組織や団体、人材による支援
- ユーザー自身が、アプリケーションなどを複数のオープンなクラウド環境で利用
- 複数の事業者がサービスをアドオンできるオープンで全体の最適化が図られるアーキテクチャーと運用環境
オープンクラウドの関連技術は、世界中の開発者が参加する開発コミュニティであるオープンソースの開発プロジェクトでノウハウを共有し、多くの開発者の貢献により、早い開発スピードでのバージョンアップが進んでいる。
不具合が発生した場合や機能拡張においても、開発コミュニティや、周辺機能を開発するサードパーティーにより、 対応が急速に進み、品質やインターフェースなどの使い勝手が短期間で改善される場合が多い。
さらに、システムの構築から運用保守まで、事業者やユーザー企業のオープンソースの活用を支援するソリューションやサポートサービスも充実してきており、機能や品質、使い勝手、サポートの面においても商用ソフトと垣根はなくなりつつある。
企業や団体による支援も大きい。たとえば、OpenStackはRackspace、CloudStackはCitrix、Cloud FoundryはPivotal、OpenShiftはRed Hatといったように、それぞれ大手事業者がそのプロジェクトを強力に支援している。また、OpenStack FoundationやOpen Networking Foundation(ONF)、Cloud Foundry Foundationといったように、中立性の高い非営利団体を設立し、ガバナンスを働かせるとともに、技術や財務などの支援を行うことで商用化を推進する動きもある。
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林 雅之(ハヤシ マサユキ)
国際大学GLOCOM客員研究員(NTTコミュケーションズ株式会社勤務)1995年NTT(日本電信電話株式会社)入社。地方で中小企業の営業ののち、マレーシアにて営業および国際イベントの企画・運営を担当。NTT再編後のNTTコミュニケーションズでは、事業計画、外資系企業や公共機関の営業、市場開発などの業...
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