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レジリエンスとは、失敗に挫けずに学習する「個人と組織」のマネジメントとリーダーシップである

(第19回)イノベーションに効く翻訳書10:『レジリエンス 復活力--あらゆるシステムの破綻と回復を分けるものは何か』 

システムレジリエンスの必要条件としての人やコミュニティのレジリエンス

 ここまではシステムの議論ですが、どのようなシステムにおいてもレジリエンスは「関わる人の意思と情熱、個人およびチームが変化に適応する能力や目的に向かって結集する力」によるとし、次に個人とコミュニティのレジリエンスについて論じでいます。

 個人のレジリエンスは心理学での研究の歴史も長く多くの要因があることは発見されていますが、本書では特筆すべき要因として、

  • 楽天的、自信家といった性格的特徴
  • 自己回復力
  • 自己統制力
  • 信仰心
  • コミュニティ
  • 遺伝

がどのようにレジリエンスに寄与するかを議論しています。その中で、レジリエンストレーニングの一つとして注目されているマインドフル瞑想のレジリエンスに果たす役割を詳細に検討しています。

 また、レジリエンスは個人の心の問題とも捉えられますが、一方で、一人だけでそれを達成することは難しいので、現実には仕事をする組織やコミュニティの問題と捉えられています。そのコアになるのが「信頼」と「協力」です。この本の後半はこの問題について考察されています。

 本書では、

  • 協力と信頼の生まれ方
  • リスクを抑制する多様性や寛容さ
  • コミュニティの適応能力
  • 通訳型リーダーの存在

といった観点からレジリエントなコミュニティとはどういうものか、また、どうすればレジリエンスを構築できるかについて考えています。

次のページ
イノベーションにおけるレジリエンスの構築

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この記事の著者

好川 哲人(ヨシカワ テツト)

有限会社エムアンドティ取締役、株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表取締役、技術士、MBA
技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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