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岩切晃子(翔泳社)×西脇資哲(日本マイクロソフト)エグゼクティブ対談―「エンジニアはもっと偉くなれる!」


 「エンジニア偉くなれない」説を覆す!―岐阜のプログラマーから、日本マイクロソフトの業務執行役員にまで上り詰めた西脇資哲さんと、デブサミの母こと、翔泳社の岩切晃子がエンジニアのキャリアパスについて本音で語り合いました。

対談は西脇氏思い出の地、ニューオータニガーデンコートにて行われました
*対談は西脇さん思い出の場所、ニューオータニガーデンコートにて行われました

中の人はエンジニア

岩切 今日は、西脇さんが業務執行役員に昇進されたということで、これまでを振り返るようなお話をうかがえればと思い、やってきました。西脇さんといえば、私の中では基本的にはエンジニアという位置づけです。なんですけど、エンジニアってところから、キャリアが階層構造で広がっていったと思うんですね。

西脇 キャリアのスタートが岐阜のプログラマーですからね。

岩切 岐阜のプログラマーだったのが、長い時間を経て、エバンジェリストを名乗るようになっていた。でもそれは、もとはエンジニアの西脇さんが、エバンジェリストっていう「着ぐるみ」を着ているんだなって思ったんですね。その着ぐるみが、これまでは、営業っていう着ぐるみだったり、プロダクトマーケティングっていう着ぐるみだったり、デベロッパーだったり…なんていうんですか、ひとりゴレンジャーみたいな、いろいろな着ぐるみを持っている(笑)。それで今回は執行役員っていう新しい着ぐるみを手に入れて、経営っていうステージに入っていくんだな、という印象です。

西脇 「ニシワキはあたらしい着ぐるみを手にいれた! 経営力が10アップした!」みたいな(笑)。確かに、「西脇はモードがころころ変わる」なんて言われることも多いし、自分でも柔軟性はあるほうだと思いますね。着ぐるみっていうのは、うまいたとえですね。

岩切 とにかく、西脇さんは昔からいろいろな着ぐるみを持っているというイメージです。今日、聞きたかったのは、なぜそんなにたくさんの着ぐるみを持つに至ったのかということです。そして、どうやってそれを習得したのか。

 エバンジェリストっていったときに私たちが普通思い浮かべるのは、ジョブズのプレゼンだったり、プレゼンテーションZENだったりTEDだったり…とにかく西洋風のプレゼンを思い浮かべますけど、西脇さんが素晴らしいのは、芸風をたくさん持っているってことなんですよ。

西脇 芸風って(笑)。まあ、でも、現実的にはTEDに代表されるようなああいうシーンって、実際のビジネスの中では、ごくごく限られた一部分にすぎないじゃないですか。

岩切 そうですよね。で、その芸風をたくさん持っているっていうところが新鮮だったと思うんですよ。西脇さんが、どうやって、たくさんの芸風、着ぐるみを着替えながら、エンジニアが大企業の執行役員になっていったのか。今でもエンジニアに戻る瞬間もあるだろうし、そこの行き来みたいな話が聞きたいなあと。

西脇 着ぐるみを着ているっていう表現はとても正しくて、僕自身が変わっているわけじゃないんです。着ぐるみの中の人、つまり僕自身は、ずっとエンジニアだし、デベロッパーなんです。役員になった今だって、コードも書くし、デモも作るし、データも打ち込みます。もし僕が、完全に役員という人間になってしまったら、役員の仕事しかしなくなってしまう。自分が持っていたもともとのものがなくなってしまう。

岩切 もともとのもの。

西脇 うん。コテコテのエンジニアですね。当時、将来のことを考えるとすごく疑問に思うことがあって。っていうのは、僕は、ビジネスステージっていうか、キャリアでいうと、一番最初はプログラマーだったわけです。1980年代、2000年には30万人のプログラマーが不足するなんて言われた時代です。そんな時代にプログラマーになった。その次はシステムエンジニア。その次はコンサルタント…その先がないんです。あるいは、いきなり営業とか営業マネージャーとかってなる。要は、そこで切れちゃうんですよ。偉くなりたかったら、それまで着ていた着ぐるみをいったん全部脱いで、まったく別のものに着替えなきゃいけなくなる。「キャリアを積む」っていう言葉があるけど、エンジニアがもし偉くなりたかったら、積んできたものを一回崩さなくちゃいけない。なんとか、エンジニアのまま、偉くなれないものか、と考えたわけです。エンジニアあがりのエグゼクティブがいたっていいじゃないか、と。

岩切 たしかに、エンジニアだからこそ、伝えられることってあると思います。

西脇 ただね、現実はシステムエンジニアから先ってないんですよ。完全にパスがない。それは、マイクロソフトを見ても、競合他社を見てもわかります。結局経営者って営業あがりなんですよね。日本マイクロソフトの経営陣も営業出身者も多く、他社を見ても、最近社長になられた SAPの福田さんも営業出身です。日本オラクルの杉原社長も営業。だから、エンジニアが想像できる大企業のキャリアパスって頭打ちなんですよ。で、そのあとどうするかって、だいた30代の中盤で悩むわけですよ。マネジメントに移るか、営業に移るか。いずれにしても、上に行こうとしたら、自分が今まで積み重ねてきたものをどっかで崩して、もう一回作らないといけない。もともと営業だったら、そんなことしなくていいんですよ。営業は、自分の経験をそのまま積み上げていけばいいわけです。営業は営業をずっとやって、営業マネージャーになって、部門長になって、事業部長になって、そのあと取締役になる。そんなの不公平だと思いませんか?(笑)

岩切 うーん(笑)

西脇 まあ、そんなことを考えながら、自分で率先してキャリアパスを切り開くってことをやったほうがいいかなって思ったんですね。ところがお手本になる人がいないんですよ。

岩切 ですよね。

西脇 お手本がいない。オラクルもマイクロソフトも、エンジニアから上がってきた人はいない。そこで、お手本にするなんて厚かましいけど、ビル・ゲイツは?全部やってるんですよ。ジョブズもそう。ザッカーバーグもそう。プログラマーからはじまった。あれ、創業者はエンジニアだなあ、と。そうか、創業者はそうだけど、雇われは違うんだな、と。

岩切 気づいた、と。

西脇 なんだ、そうだったのか!って。そこに大きな違いがあるのかと。だったら、自分で雇われのエンジニアとして役員というキャリアパスを手にいれることができればいいなと。

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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)

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