2014年9月28日、今年もOracle OpenWorld 2014が、米国サンフランシスコのモスコーンコンベンションセンターで始まった。イベントの開催直前に、CEOであるラリー・エリソン氏が代表執行役会長 兼 CTO(Chief Technology Officer)になり、マーク・ハード氏、サフラ・キャッツ氏の2人がCEOに昇格するという経営体制の変更を発表したこともあり、CTOとなったラリー・エリソン氏からいったいどんな言葉が飛び出すのかに注目が集まった。
Oracle Database 12cベースのクラウド・プラットフォームサービス登場

Oracle OpenWorldの恒例となっている初日夕方のキーノートセッション、ここに早速CTOの肩書きとなったラリー・エリソン氏が登場した。話題の中心はクラウドだ。今回、新たにPaaSとなるOracle Database 12cを利用するOracle Database Cloud ServiceとJavaの開発実、行環境となるWeblogic Cloud Serviceの提供開始を発表した。 「Oracleはクラウドはスタートしたばかり。クラウドで出遅れたとも言われるけれど、データベースは最大のクラウドのビジネスになるだろう」とラリーは語る。
OracleではデータベースとJavaのクラウドサービスについてはすでに発表していたが、本格的なビジネスを展開するには至っていなかった。今回はそれを最新版の製品群を足回りに備え、統合化したPaaSとして再ラウンチをする形になる。このプラットフォームには、ソーシャル、ビッグデータ分析、モバイル、マルチテナント、セキュリティなどの各種機能が備わっていることが特長だ。
ユーザーはOracleのPaaSを使ってアプリケーションをクラウドに簡単に移行できる。Oracleベースのアプリケーションであれば「ボタン1つで移行できる」。さらに、たんにデータベースやアプリケーションを移行できるだけではない。
「クラウドに移行すればマルチテントになる。ISVの皆さんはこういくクラウドを待ち望んでいたはずだ」(ラリー)
ISVだけでなく、顧客もまた既存のオンプレミスのアプリケーションをクラウドに移行する準備をしている。OracleのPaaSでISVや顧客がクラウドに移行すれば、キャパシティをオンデマンドに増やせるといったクラウドのメリットを得るだけではない。Oracle Database 12cの機能を使って、データは自動的に10分の1に圧縮される。圧縮されることは、コスト削減にもつながる。さらに、標準でデータはすべて暗号化される。また12cの新機能のインメモリ・データベースも利用できる。高速なインメモリ・データベースを使ってビッグデータ分析の機能も提供する。
「いままでとくらべてクラウドでは、100倍くらいの性能でアクセスができるようになる。そしてより信頼性が増す。バックアップも自動で行う。それをOracleが責任を持ってやる。RACもData Guardも使える。オンプレミスでやってることすべてをクラウド実現できるできる。それを自分たちで行ってもいいし、Oracleに任せてもいい」(ラリー)
ラリーは、PaaSの優位性を示すために各社のと引き合いに出した。SAPのHANAについては「SAPはクラウドは難しい。HANAがクラウドのパワーになると言うけれど、何のパワーになるのか。HANA上で動くSaaSがいったいどこにあるのか」と言い、会場は拍手と笑いに包まれた。
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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