コンテスト形式でアウトプットの品質が向上
topcoderへの仕事の依頼は、コンテスト形式で行われる。競争が発生するので、アウトプットのクオリティは上がる。顧客はtopcoderのアウトプットのエフォート(努力)にではなく、結果に対してだけ対価を払うのだという。つまり品質も確保でき、コストも必要以上に増えない仕組みとなっているのだ。
世界中70万人のリソースは、UI/UXデザインの専門家が10万人弱、ソフトウェア開発が40万人強、データサイエンスが20万人ほどという割合だ。発生する仕事依頼の40%ほどがソフトウェア開発で、中でもモバイル開発の案件が最近は増えている。日本からも1万人ほどが参加しており、その多くがデータサイエンス領域の専門家だ。データ分析や統計処理を専門とする学生も多い。「日本では仕事としてお金を得ようと言うより、技術力を競い合う場として参加しているようです」と藤田氏。今後は、日本からもソフトウェア開発などの領域の参加者を増やすことが課題となっている。
米国、さらにはインドや中国からのtopcoder参加者は増えている。背景にはフリーランスのイメージもポジティブなものに変わり、米国などでフリーランサーが増えている現状がある。topcoderに参加すれば、さまざまな国の人と仕事をすることになる。
「実際に仕事をする上で、相手国を意識することはあまりありません。topcoderは英語でのコミュニケーションとなるが、相手がどこの国の人かはあまり意識しない。気になるのは、住んでいる地域による時差くらい」と語るのは、直接topcoderとやり取りをすることもあるAppirioのシニア コンサルタント コミュニティ アーキテクト 山家 匠氏だ。
山家氏によれば、技術が共通言語になるので、国が異なっても大きな差にはならない。コミュニケーションを取る際にも、日本人の英語力はそれほど低いものでもないという。
topcoderはいわば、バーチャルカンパニーのようなもの。topcoderのコミュニティの中には、プロジェクトマネージメントを担当する人もいれば、できあがったソフトウェアをレビューする人もいる。「SIの会社がバーチャルであるようなものです」(藤田氏)。クラウドの開発業務が分割され、その一部がコンテスト形式でtopcoderに依頼される。topcoderから見れば、そういう世界がWeb上にあり、参加すれば賞金を稼げる。なので、自分ができそうなものにはどんどん手を上げることになるようだ。