
IBM InterConnect 2015の2日目はモバイル・デイ、この日の大きな発表となったのが新しくなった「IBM MobileFirst Platform」だ。記者向けの説明会でIBMのエンタープライズ・モバイル バイスプレジデント フィル・バカルー氏は「モバイルがすでに人々の生活の中心になっています」と言う。そしてモバイルが市場の破壊をしており、多くの企業がモバイルで新しい売り上げための道を作っているとも。売り上げだけでなく、社員にもモバイルアプリケーションを渡して、データの文脈を考えた上でビジネスにおける意思決定を支援することができる。
モバイルアプリケーションが企業に新たな売り上げの道を提供する時代

企業にとって重要になったモバイル・アプリケーションだが、ある調査では向こう1年間で6つ以上の新たなアプリケーションを作る計画を企業は持っており、85%企業が構築すべきモバイルアプリケーションのバックログを20以上も抱えている。さらに、対応すべきモバイル用のOSが複数あるのも、迅速な開発の妨げになっているとバカルー氏。これらの課題に対応するために提供するのがMobileFirst Platformだ。
MobileFirst Platformを使えば、セキュアなアプリケーションを容易に構築可能でさまざまなデータソースを統合したパソナライズ化したものを構築でき、それを使って意思決定のサポートとより高度なユーザー体験を提供できるようになる。
「プラットフォーム化したことで、ユーザーが使いたいものだけを使えます。さらに継続的な開発をサポートして、モバイルアプリケーションの継続的な改善とデリバリーができるようにします」(バカルー氏)
MobileFirst Platformを使うと、モバイル端末の機能にネイティブに対応するアプリケーションはもちろん、HTML5ベースのもの、ネイティブとHTML5のハイブリッド構成のものと柔軟な対応が可能となる。ネイティブアプリケションの開発については、iOSに特化したものも用意されている。この幅広い対応は、従来提供してきたIBM Worklightが基になっている。
また、モバイルアプリケーションでデータを活用する部分では、MobileFirst Platformの中で買収したCloudantも活用できるようになっている。これを利用することで、モバイルアプリケーションで発生する大量のデータを効率的に蓄積してすぐに分析してフィードバックを得るような仕組みを作るのも容易になる。
モバイルアプリケーションで極めて重要なセキュリティへの対応
もう1つ、モバイルアプリケーションを企業が利用する上で重要になるのがセキュリティだと指摘するのは、IBM モバイルマネジメント&セキュリティのバイスプレジデント ケレブ・バーロウ氏だ。今や犯罪組織がまるで企業がビジネスを行うかのように活動している。そんな中で、モバイルのセキュリティがもっとも懸念されているのが現状だ。
「モバイルは、犯罪者に新しい道を作るものであり、モバイルアプリケーションを作る際には、最初からセキュリティ機能を入れる必要があります」(バーロウ氏)
モバイルアプリケーションのセキュリティについては、まったく新しい形で考えるべきであり、それについては企業の側で強固な対策をとる必要があるとも言う。IBMでは、ビジネスで必要となる信頼性を確保するためにモバイルセキュリティに投資しているとのこと。
堅牢で安定性の高いモバイルアプリケーションの開発のところは、MobileFirst Platformの中でWorklightのアシュアランス機能やRationalのテストツールの機能が利用できる。またMobileFirst Platformのセキュリティ管理のところに新たに加わったのが、モバイル端末管理ソリューションだ。従来のMaaS360の機能を取り込んでそれをさらに拡張しており、不正的なパターンの発見、デバイスやコンテキストに基づいたアクセスコントロールなども可能になっている。
これらにより、構築するアプリケーションの堅牢性を高めるたけでなく、アプリケーションを利用するモバイル端末そのものをセキュアに運用管理できるようにすることで、個人情報の漏洩などの事故対策についても包括してMobileFirst Platformで管理できるようになる。
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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