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DB Online Day 2015

【リレートーク】ニッポンならではのデータ活用で明るい未来を切り開け


 DB Online Day2015 で行われたリレートークのもようをお届けする。テーマはニッポン発、データ活用の在り方。企業のITには今、効率化やコスト削減だけでなくビジネス価値の向上が求められている。その際重要となるのがデータ活用である。しかし、多くのデータ活用ソリューションは海外製。ニッポン企業がそのまま取り入れてうまく行くのか?ニッポン企業ならではのデータ活用があるのではないだろうか。海外のいいところを取り入れつつ、ニッポンならではのデータ活用の在り方を明らかにしていく。

DB Onlineチーフキュレーター 谷川 耕一 氏
DB Onlineチーフキュレーター 谷川 耕一 氏

谷川 「ニッポンを強くする! データ活用の未来」と題して行われた日立さん、ウイングアーク1stさん、富士通さんのセッションのまとめ、フォローアップのため、リレーセッションを開催します。

DB高速化により、事前にやっておく処理を後回しにできる時代がきた

谷川 まず日立さんからまいりましょう。日立さんは、人事ローテーションを内部で行って開発者が現場を知り、その経験を製品に反映させている。すごく必要なアプローチだと思います。

本題に入る前に「データ活用のレベル」について、会場アンケートを行います。こんな結果が出ました。

  1.  ビッグデータ、高度なアナリティクスを行っている :10人
  2.  DWH、データマートなどでBIツールを使っている :24人
  3.  定型レポート程度 :57人
  4.  ほとんどデータ分析に手をつけてない :6人

 もう少し2が多いかと思いましたが、やはり3が多い。まだまだ帳票、Excelレベル感が世の中では強いなという感じです。次のステップに行くにはどう考えればいいのでしょうか。

日立製作所 情報通信システム社 ソフトウェア開発本部 システム基盤ソリューション部 主管技師 桐越 信一 氏

日立製作所 
情報通信システム社 ITプラットフォーム事業本部 システムソリューション部 主管技師
桐越 信一 氏

桐越 まず、データ活用の目的が何かだと思います。業務の日々の進捗を見るなどの目的で使うのであれば、点在し、サイロ化している業務システムからデータを集める、統合DBのようなものを作ることになる。

 ただデータを収集する際、今の業務DBに負荷をかけてしまうと、オペレーションのレスポンスが下がってしまう。そこで、DBの更新ジャーナルから裏でデータを引き抜いてきて、統合DBに入れることを考えています。

 またデータ加工の方法にも幾つかパターンがあります。例えば統合DBにデータを格納するための文字コード変換やフォーマット変換、1対Nのレコードの分解処理などは、SOA的な基盤を使ってリーズナブルにやることもできます。一方で、データのクレンジングや標準化をするとなると、この部分の処理はETL製品をアドオンするなどの対応が必要になる場合もあります。

 このデータの標準化で難しいのは、コード変換の仕様を策定するにあたり、全社的視点で仕様を策定できる立場に無いケースや、仕様策定の段階で、将来のデータ活用シーンを想定することが難しいケースです。そうしたケースに関しては、収集したデータをそのまま統合DBに放り込んでおいて、あとで組み合わせることにより、そこで初めて標準化するというパターンが考えられます。これが最近、DBの高速化によって実用化できるようになったと考えています。

谷川 この数年、「データを活かす」という考えがあり、「出てくるログのようなデータをとにかく入れてしまう、とにかく全部集めよう」という発想があると思います。それがビッグデータアナリティクスに繋がると捉えても大丈夫でしょうか。

桐越 そうですね。ただお客様と色々な話をすると、「どう使うか分からないが、貯め込めるだけ貯める」では稟議が通りません。これはニワトリと玉子みたいな話ですね。

谷川 それを何か、データベーステクノロジー側でできる解決法はないでしょうか。

桐越 私の立場としてはストレージを売りたいので、どんどんデータを貯め込んでいただきたいのですが、お客様も価値が無いものには予算を付けてくれません。

 ただDBの高速化により、事前にやっておく処理を後回しできる時代に来たと思います。以前は見る観点から「どうやって集めるのか、どう加工するのか」の設計にものすごく時間とお金がかかっていた。それが高速化により、ある程度考えれば良くなっている。とにかくやり始めやすくなったということです。

谷川 DBといわれる製品がカバーする範囲が広くなっている気がしています。

 そういう認識が、ビッグデータ、IoTの時代には必要なのかなと思うのですが、それを日立的にはどうお考えでしょうか。DBの進化なのか、肥大化なのか。

桐越 DBのカバー範囲が広くなっているというのは、確かにあると思います。扱えるデータの量が増え、形式も増えてきた。ただ、それぞれに色々なAPIを使わないとならないのは非常に面倒くさいので、最終的には「SQL一本で全部まとめたい」ということがあるのかなと思います。

谷川 最後に日立のデータ活用おける、こだわりをお聞きしたい。ここだけは譲れないとか、ここは自信を持っているという話を。

桐越 一番の理想は、情シス部門が手を動かさなくても、エンドユーザーが自分で収集し、加工し、活用できるような環境の提供だと思っています。しかし、なかなかそこまではたどり着けない。情報の収集ということでは、HTTPのパケットのキャプチャーなども対象として手を広げています。そこで集まったデータで、人間行為の変化を見ることができる。要は、情報をとにかく集めてくることにこだわりを持っています。

 日立製作所 情報通信システム社 ソフトウェア開発本部 ビッグデータソリューション部 主任技師 石川 太一 氏
日立製作所 
情報通信システム社 ITプラットフォーム事業本部 ビッグデータソリューション部 主任技師
石川 太一 氏

石川 データ活用において、DBの高速化というポイントソリューションは大事だと思っていますが、日立としてはSIerという顔もあります。ですからSIという形も含めて、データ発生から活用に至るトータルの視点で最適化するご提案にこだわりたいと思っています。

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この記事の著者

久原 秀夫(クハラ ヒデオ)

フリーランス/ITライター

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https://enterprisezine.jp/article/detail/6725 2015/04/13 13:34

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