シスコシステムズ アジアパシフィック ジャパン プレジデントのアーヴィン・タン氏は「鈴木氏は、シスコの日本におけるほとんどのキーカスタマーと関係性を持っています」と言い、大きな企業で働いていただけでなく起業家的な経験値も持っていると評価する。
「幅広い経験を複数の業界で持っており、日本の顧客のこともよく理解しています。日本においてさまざまなチャンスがある中で鈴木氏を迎えられるのは、非常にエキサイティングです」(タン氏)
タン氏は、鈴木氏がイノベーションを起こす情熱を持った人だと言う。そして日本のチャネルパートナーについてもよく知っており、日本のビジネスをさらに上のレベルに持って行ける人物だとも言う。
就任会見に登場した鈴木氏自身も、ジェットスターでの仕事以前は、ITや通信業界での経験が多いことを強調した。そしてシスコの掲げているIoE(Internet of Everything)のソリューションについて、積極的に提案していくと意気込みを語る。その上で「シスコシステムジャパンの組織を風通しが良く、1人1人が能力を発揮できる組織にしたい」と言う。
鈴木氏は就任してまずは、顧客、パートナーの要望を聞き、その上でシスコのサービス、製品をどうしていけば良いかを考えるところから始めると。そして組織は人材が重要なので、最前線で働く社員の声も聞きたいと言う。今後の戦略は、その上で考えることになる。またシスコが直面しているであろう課題については、めまぐるしい変化のあるITの世界で将来を見据えてどういうサービス、製品を出せば良いかを考えなければならないことだと言う。
今回の社長就任について、自身が評価されたであろう点については経歴の大部分がIT、サービスプロバイダ、コミュニケーションの世界だったことを挙げた。さらには、顧客としてシスコと接点があったことも挙げた。さらにITが秘めた可能性、シスコが掲げるITの力で人々の暮らし方などを変えていくといったイノベーションに対しても、意欲を持ってやっていくであろう姿勢が評価されたようだ。
タン氏は、今回前任の平井氏退任から鈴木氏就任まで半年ほどの時間がかかったことについて、日本はグローバルの中でも大きな市場であり的確な人材を任命することが重要と考えた結果だと言う。そのため幅広い顧客領域の経験があり、日本市場に精通していること、その上でグローバルなベストプラクティスを理解していることという3つの条件が必要であり、それらを鈴木氏が持っていたのだ。
「シスコはイノベーションのために、新しい人材を常に探しています。その中で、今回はこのように鈴木氏を新社長として迎えられたことを本当に喜んでいます」(タン氏)
日本の顧客は高品質なサービスを求め、トラブル時にも迅速な対応を求める傾向がある。顧客だった経験から、シスコという会社はそれらに丁寧に対応するイメージがあったと鈴木氏。
シスコには先駆者のイメージも持っている。インターネットの初期の時代から新しいことをやっており、業界の傾向を賢く確実に掴んでいるイメージがあるとのことだ。
今後は日本のマーケット動向を密に捉え、グローバルの力を借りて顧客とパートナーのニーズを十分に把握したソリューション、製品を提供していきたいと抱負を述べる。
「本社との対話でシスコという会社が何を考えているかをきちんと理解し、その上で日本のマーケットのトレンドを取り入れてもらえれば」(鈴木氏)
これまではどちらかと言えばネットワークという裏方的なソリューション・イメージが強かったシスコ。今後はネットワークの世界で培った経験、ノウハウを活かしてIoEへの積極的な取り組みを表明している。そのこともあり、IT業界全体からも何かと注目される機会が増えるだろう。さらには日本のIT業界では珍しい女性のトップということもあり、鈴木氏の手腕に対する期待値はかなり高くなりそうだ。