Pulse Secure社は端的に言えばネットワーク機器のJuniper Networks社のスピンアウト。Juniper Networks社はSSL-VPN事業(「Junos Pulse」製品群など)を新会社に譲渡する形で、米国でPulse Secure社が2014年10月に設立した。
会社自体は新しいものの、Juniper Networks社のセキュアアクセスのための事業を継承しているため、製品が持つ200件以上の特許、パートナーや顧客、開発やサポートなどに関わる人員も継承している。新会社はモバイルアクセスのためのセキュリティソリューションに注力した企業であり、売上は1億ドル超、従業員はグローバルで350名(うち200名ほどがJuniper Networks社からの転籍)。
同社製品は直近でもInfo Security Products Guideなどで受賞している。パートナー戦略担当ヴァイスプレジデントのダグ・エリクソン氏は同社製品の強みについて、セキュアアクセスのための強力なポートフォリオを持つこと、IT管理者やエンドユーザーのエクスペリエンスをシンプルにするという方法性、これまでの実績に裏付けされた信頼性などを挙げた。
エリクソン氏は自社を「次世代セキュアアクセスのリーディング企業」と称す。特に注力していくのがセキュアなモバイルアクセス。例えば「社員のBYODでセキュリティを確保するには」、「ノートパソコンやモバイルデバイスからSaaSアプリケーションに安全にサインインするには」など、クラウドサービスから「IoT」までこれから普及が見込まれるテクノロジーにおけるネットワークアクセスの課題へのソリューションを見すえている。
Pulse Secureの日本法人となるパルスセキュアジャパンの設立は2015年5月。カントリーマネージャには米国ベンチャー企業の日本進出やマネジメントを経験した奥村康広氏が9月から就任する。同氏は直近では日本ラディシス代表取締役を担っていた。
日本市場における今後のビジネス展開は当面ジュニパーネットワークスのディストリビュータとパートナーのチャネル販売を継続する。ダイレクト販売は行わない。奥村氏は日本向けのサービスチャネルプログラムの拡充、パートナートレーニングなどを強化する意向を示した。「2016年にSSL-VPN国内シェア50%を目指す」と奥村氏。
具体的に同社が提供している製品としては、ゲートウェイなどのアクセスポリシーを一元管理する「Pulse One」、モバイルクライアントの接続(ネットワークアクセス制御とBYODソリューション)のための「Pulse Policy Secure」、モバイルVPNソリューション「Pulse Client」、BYODソリューション「Pulse Workspace」などがある。
ほかにもリモートアクセス用SSL-VPN製品「Pulse Secure Connect Secure MAG」がある。Juniper Networks社が販売していた「Juniper SA/MAG」にあたる。
今回は発表された新製品はこの後継機種となる。名称は「Pulse Secure Appliance」と改めた。規模により4つのモデルに分類されている。それぞれPSA300(価格は3,000米ドル)、PSA3000(3,000米ドル)、PSA5000(8,000米ドル)、PSA7000c/7000f(26,000米ドル)。提供開始は9月から。
特徴は前の機種と比べて接続数が3倍となるなど、性能を強化したところ。PSA300とPSA3000は接続数が200のところ、PSA5000は接続数2,500、PSA7000は接続数最大35,000となる。ハイエンドのPSA7000はCPUにIntel Haswellを採用し、ネットワークや電源などが冗長化されている。
Pulse Secure社は上記アプライアンスに加えてソリューションソフトウェアを組み合わせることで顧客に新しい価値を提供していく考えだ。エリクソン氏は「どのようなデバイスであろうとシームレスにネットワークにアクセスできるようにし、ユーザーのエクスペリエンスを変えていく」話した。