
多くの企業が厳しい経営環境と市場変化の波にさらされている昨今、企業経営を下支えするIT部門には、より経済効率の高い確実なIT運営が求められている。編集部が主催したセミナーEnterpriseZine Day「次を見据えたITインフラとシステム運用の姿」では、アイ・ティ・アール 取締役/プリンシパル・アナリストの金谷敏尊が、昨今のIT部門の環境変化とともに、ITコスト節減に加え、より高い価値を生み出すためのIT施策について具体的な事例を交えて紹介した。
「従来型機能」から、改革・戦略に貢献する「新しいIT機能」へ
日本経済が上昇基調と言われつつも、多くの企業が厳しい状況にあることは変わりがない。そんな中でIT部門に期待される役割が大きく変化していると言われている。

株式会社アイ・ティ・アール 取締役
プリンシパル・アナリスト 金谷敏尊
独立系ITコンサルティング・調査会社であるアイ・ティ・アール(以下、ITR)が行った「IT投資動向調査2015」では、システムの機能やパフォーマンスの改善、セキュリティ管理等の「従来型機能」、新しいシステムやアーキテクチャの構想化などの「IT改革」、各部門への技術支援や提案といった「業務改革」、そしてビジネスモデルの開発・改良などの「ビジネス戦略」の4分野において、“期待度”が少しずつ変化していることが見て取れる。基本的には「従来型機能」に対し、現在50~60%の企業で期待すると答えているが、「3〜5年後に同じように期待するか」という質問について期待度は40%程度に減り、代わって「業務改革」や「ビジネス戦略」への期待度がやや増加している。

出所:2016年2月23日 EnterpriseZine Day/株式会社アイ・ティ・アール 金谷敏尊講演資料
「ITコスト節減の動向と注目事例~今求められる戦略的ITサービス部門への変革~」より
[クリックすると図が拡大します]
つまり、「従来型機能」については引き続き重要であることは間違いないが、新たに業務やビジネスにおける改革・戦略に貢献するという“新しいIT機能”が求められつつあるといえる。
金谷氏は「従来型IT機能では、社内サービス・プロバイダーとして『効率の追求』が使命とされていたが、新しいIT機能では、デジタル技術によるビジネス・イネーブラ(実現する役割)として『革新の創出』が使命となる」と解説。近年「第二のIT部門」や「デジタルビジネス部門の立ち上げ」など、新しいIT機能を担うIT部門が注目されることが多く、実際、その肌感覚は誰もが感じているのではないだろうか。
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伊藤真美(イトウ マミ)
フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ビジネスやIT系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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