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ビッグデータを活用した不正対策のススメ

不正対策におけるデータ分析の有効性

金融機関を中心に、不正対策にビッグデータを活用する取り組みが広がっています。本連載では、数々の金融機関とデータ分析プロジェクトを行ってきた著者の経験に基づき、効果的な不正対策をデータ分析で実現するための方法を解説します。

データ分析の対象となる不正対策の分野

 一口に「不正」と言っても、世の中にはさまざまなタイプの不正が存在します。データ分析がどのような分野で不正対策に利用されているか、いくつか例を示します(表1)。クレジットカードの不正利用など、比較的早い段階からデータ分析に基づく対策が行われてきた分野もありますが、多くはビッグデータに関する技術革新により分析が可能となった分野です。近年の傾向として、保険や公共の業種まで対象が広がっているほか、企業の内部不正対策や、サイバーセキュリティの分野でもビッグデータが活用されています。

表1: 不正対策にデータ分析が利用されている分野8353_1.png
表1: 不正対策にデータ分析が利用されている分野

日本で高まる不正リスク

 欧米と比較すると、日本における不正対策のレベルはまだ十分とは言えません。その一方で、企業や個人が不正行為により被害を受けるリスクは日々高まっています。2016年5月には、南アフリカのスタンダード銀行から流出したデータを基に偽造されたクレジットカードを使って、日本全国のコンビニエンスストアに設置されたATMから計18億円以上の現金が引き出される事件が発生しました。これまで日本における金融犯罪といえば振り込め詐欺やヤミ金などが主流でしたが、これほど大規模で組織的な金融犯罪が日本で発生したことに驚いた方も多かったのではないでしょうか。

 昨今、新しいテクノロジーやグローバル化を背景に、これまでには見られなかった高度な手口の不正行為が次々に発生し、金融機関を中心に企業はその対策に追われています。不正は多数の正常な行為に紛れ込むように発生します。よって大量のトランザクションの中から正確に効率よく不正を検知することは、熟練の担当者に依存するマニュアルベースの方法では困難です。一部の企業ではすでに不正検知業務にシステムを使用しているケースもあります。しかし、単に経験則に基づくルールを実装しているだけでは、今回の事件のようにシステムの盲点を突いた不正行為に対して非常に脆弱です。

 近年の欧米では、不正検知にビッグデータを用いた統計的手法を用いることが一般的になりつつあります。不正対策専門の組織を設けて、そこにデータサイエンティストを採用しているケースも多く見られるようになりました。また、不正検知を題材にしたデータ分析に関する書籍も複数出版されており、情報に触れる機会も数多く提供されています。以下では、特に金融犯罪対策の取り組みが進んでいるイギリスを例に、データ分析が不正対策においてどのように活用されているのかを解説します。

次のページ
イギリスにおける不正対策の取り組み

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この記事の著者

忍田伸彦 (オシダノブヒコ)

SAS Institute Japan コンサルティングサービス本部 Fraud & Security Intelligenceグループ マネージャー    創価大学工学部情報システム学科卒業後、東京大学大学院工学系研究科にてバイオインフォマティク...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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