環境対策は長期的な視点で取り組むべき課題である。ITエネルギー対策だけにフォーカスしてみても、フォローする範囲は広い。本連載では3回にわたって、まず、環境をめぐる動向を解説したうえで、IBMおける地球温暖化対策の取り組みを元に、ITエネルギー効率化のポイントを事例を参照しつつ整理してみたい。
排出量取引に動き出した日本〜国内統合市場の試行的実施へ
去る10月21日、政府地球温暖化対策推進本部は、排出量取引の国内統合市場の試行的実施を決定し、これに伴い参加企業等の募集を開始した。この決定の背景には、CO2削減の実現のために市場を活用しようという政府の判断がある。先行していた欧州、米国に続き、いよいよ本格的に排出量取引に動き出した日本。
我が国の現行制度においては、あくまで自主参加型であり強制参加とはなっていない。しかし、我が国でも国内統合市場が確立されれば、近い将来、グローバルな環境問題において日本が技術・モノづくりを活かしたリーダーシップを発揮する可能性は十分に期待できる。
今現在、CO2の値段1tあたり、15~20ユーロというのがだいたいの相場と言われている。空気に値段がついているというのも変な話ではあるが、これは、新たな金融市場が生まれるということも意味している。そしてこれが、英国政府が導入している、CAP&TRADEの仕組みである。
ここでCAP&TRADEの仕組みについて簡単に説明する。
日本はセクター別アプローチなので、業種別に、あるサイズに応じてこれだけのCO2を年間排出してよいという基準がCAPである。それ以下に抑えられた会社はその分だけ余剰になる、つまり埋蔵金が生まれるというわけだ。埋蔵金は、市場で取引ができるので、売買し、現金化することができる。逆に、そのCAPに対して、CO2を減らせない会社はこの排出量を買わなければならない。これがCAP&TRADEの仕組みである。
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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
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