システムのデータ管理に、Oracle DatabaseやMicrosoft SQL Serverを利用している企業は多い。とはいえ社内にはOracleしかない、あるいはSQL Serverしか利用していない企業は、今や少ないのではないだろうか。オープンソースのMySQLやPostgreSQLを適材適所で利用する一方で、メインフレームやオフコンではIBM DB2を使っているかもしれない。さらにはHadoopやNoSQLデータベースなど、新しいデータベースを利用し始めているところもあるだろう。今や異なるデータベースを適材適所で使い分けるのは、珍しいことではない。それによりライセンスコストを最適化したり、安価に災害対策構成を構築したりする企業もある。そういった異種混合のデータベースを運用する際に重要なのが、データベース間での効率的なデータ連携だ。異種間データベースで高速、リアルタイムに双方向レプリケーションを行うツール「DBMoto」を提供するHiT Software、同社のマネージング・ディレクターのグラコーモ・ロレンツィーニ氏に、異種間レプリケーションツールとしてのDBMotoの強味、そして異種データベースを使いこなすためのヒントについて話を訊いた。
大手だけでなく中堅、中小企業も異種データベースを活用している

Q:まずはDBMotoを提供しているHiT Softwareについて教えてください。
ロレンツィーニ:HiT Softwareは、SAPのERP導入コンサルティングなどに強味を持っているBackOffice Associatesのグループ会社の1つです。BackOfficeには、Data Store Ship Platformというデータの移行ソリューションがあり、そこにDBMotoが組み込まれています。
DBMotoを提供しているHiT Softwareは、データ統合にフォーカスした企業です。エンタープライズ企業向けに、異種データベースのデータ統合のソリューションを提供しています。DBMotoを活用することで、たとえばDB2からOracleへと、異種データベース間でデータをキャプチャしてレプリケーションできます。
HiTのビジネスは米国、ヨーロッパ、アジア、ラテンアメリカなど世界に展開しており、すでに20年ほどの経験があります。日本法人はありませんが、日本ではパートナーであるクライムとビジネスを展開しています。製品の日本語化などもクライムが行っています。日本でもクボタなど多様な企業にDBMotoは導入されており、ビジネスは伸びています。
HiTではDBMotoが主要製品ですが、他にもIBM DB2をさまざまなデータベースとつなぐためのドライバー群である「DB2 Connectivity」や、XML形式のデータをリレーショナルデータベースに取り込む際のマッパー「Allora」なども提供しています。
Q:ここ最近で、複数の異種データベースを利用する顧客の状況に変化はありますか。
ロレンツィーニ:従来、複数の種類のデータベースを利用し、それらの間でリアルタイムにデータを連携していたのは大手企業が中心でした。ここ最近は中堅、中小企業も異種データベースを利用しており、リアルタイムにデータ連携しようすとする動きが出ています。
異種データベース間のレプリケーションの用途としては、基幹系システムやセントラルデータウェアハウスから事業部などが利用するデータベースにリアルタイムにデータを渡すものがあります。多くのユーザーがセントラルのデータベースにアクセスするのではなく、分散させ負荷を低減するのが目的です。この場合はデータウェアハウスやBI、アナリティクス領域での利用になります。
もう1つは災害対策です。DBMotoは災害対策用ツールではありませんが、データベースのデータだけでも確実にバックアップしておきたいという用途で使われています。一般の災害対策用のソフトウェアなどよりも、レプリケーションで安価にバックアップがとれるメリットがあります。
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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