なぜAvamar/Data Domainが支持されているのか
津久井氏は「ポイントは『重複排除』の機能で、それにより処理の高速化、効率化を実現していることにあります」と見ている。最近の仕組みでは、バックアップサーバではなくクライアントに重複排除処理を分散し、一意のデータだけを圧縮・暗号化してバックアップする。その結果、LAN上のデータ移動と格納データを大幅に少なくしているという。
Dell EMCでは重複排除率を、「バックアップのためのデータ移動」で最大99%削減としており、他社製品が出している95%と比較すると、25回のバックアップで差分の容量が2分の1で済むという差が出ている。
「EMCの社員は、お昼に一斉にバックアップを始めます。私だと対象が25ギガバイトですが、大体5〜10分ぐらいで終わる。重複排除の効果で、実際に送るのは1%以下になります」(津久井氏)。
アジア太平洋地域のバックアップサーバはインドのバンガロールにあり、若干の開始の時間差はあるものの、ほぼお昼休みにバックアップ処理が完了し、そこで滞ることはないという。
VMware環境向けの最適化ということでは、イメージレベルのバックアップにおいてVADP:vStorage API for Data ProtectionというAPIをサポート。「それにより、たとえばチェンジブロックトラッキングを利用した高速なバックアップとリストアなどが可能です。イメージバックアップから、ファイルレベルのリストアも簡単にできます」(津久井氏)。
またVSPEXなどで認定されたリファレンスにより、導入してすぐに使える。さらにVMwareとHyper-V, Azure用に「Avamar Virtual Edition」という仮想アプライアンスも提供されていて、オンプレでもクラウドでも運用が可能である。
Avamarはバックアップの管理をするアプライアンスサーバであり、Data Domainはそのデータを蓄積していくストレージという位置づけだ。
「両者が揃うと何が良いかというと、Data Domainは、非常にデータの効率が良いストレージなので、Avamarを多く買うよりは安く展開することができます。数が少ないと保守も簡単で、壊れる確率も下がるのです」(津久井氏)。
またData Domainが大手のバックアップソフトのほとんどをサポートしていて、アーカイブのソフトも連動する。その利用により、Avamarを中心とした新しいバックアップ基盤と古いバックアップソフトを使ったバックアップ基盤をData Domainに統合することが可能となっている。
さらに規模や要件に合わせ、柔軟なアップグレードが可能に。小規模な環境で論理障害対策をするのであれば、VMware vSphereに無償でバンドルされているVMware VDPを使えばいい。「実はVDPの中身は仮想版のAvamarで、機能制限があるが、重複排除の機能を使うことができます」(津久井氏)。
中規模までの環境で、筐体障害対策も行うニーズがあれば、VDPプラスData Domainになる。大規模環境で、アプリケーションレベル障害対策が必要になれば、Avamar本体の出番となる。
AvamarとData Domainに仮想サーバのバックアップをさせると、分離した複数台のAvamarのプロキシサーバからから直接データを送るので、非常に高速にバックアップが取れる。
以上の要件レベルを、VMwareとDell EMCが共同開発しているハイパーコンバージドインフラストラクチャ製品の「Dell EMC VxRail Appliance」を中心に整理すると以下の表のようになる。