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Oracleのグローバル・ビジネスユニットとして生まれ変わったNetSuiteはどこへ向かうのか?


 昨年Oracleに買収されたクラウドERPベンダー「NetSuite」の年次カンファレンスイベント「Suite World 2017」が開幕した。NetSuiteのロゴも「ORACLE + NETSUITE」となっており、買収後初となった今回のイベントのタイトルは「NEXT STARTS NOW」と、新たなNetSuiteの始まりを示すものとなっている。NetSuiteは、財務会計などのERP、顧客管理のCRM、さらにはEコマースなどの業務アプリケーション機能を、単一のクラウドサービスである「OneWorld」として提供する。すでに世界中の40,000を超える企業や組織で利用されており、ERP SaaSの領域では、世界でNo1のシェアを持っている。同社のクラウドサービスは、中でも成長するスタートアップ企業での採用が多いのが特長だ。

NetSuiteはOracleのグローバル・ビジネスユニットとして独立してビジネスを行うことに

 黒いスーツ姿の体格のいい男性が大勢ステージに登場、ラグビー・ニュージーランド代表「オールブラックス」が国際試合の際に披露するマオリ族戦士の踊り「ハカ」でSuite Worldの基調講演はスタートした。この演出は、新生NetSuiteの新たな戦いが始まるということなのか。

 ステージに登場したOracle NetSuiteのエグゼクティブ・バイスプレジデント ジム・マッギーバー氏によれば、Oracleにより買収されたNetSuiteは、新たにOracleの中の1つの組織であるグローバル・ビジネスユニットとして活動していくことになる。この組織はOracleの中にはあるものの、グローバルレベルの組織としてある程度独立性を保った形で運用される。同じような存在としては、MySQLグローバル・ビジネスユニットなどがOracleにはすでにある。

Oracle NetSuite エグゼクティブ・バイスプレジデント ジム・マッギーバー氏
Oracle NetSuite エグゼクティブ・バイスプレジデント ジム・マッギーバー氏

 マッギーバー氏に紹介され登場したのは、OracleのCEO マーク・ハード氏だ。

 「NetSuiteの顧客への対応や顧客のNetSuiteを利用する環境は、Oracleに統合されても一切変わりません。サービス体制を含め既存顧客はNetSuiteを使い続けることを何ら心配する必要はありません。そしてOracle + NetSuiteは、今や世界でNo1のCloud ERPベンダーなのです」(ハード氏)

Oracle CEO マーク・ハード氏
Oracle CEO マーク・ハード氏

 続いてハード氏は、Oracleのクラウド戦略について語った。Oracleはベスト・オブ・ブリードのSaaSを業界標準の技術で構築し、それをスイートの形で提供している。このスイート型のSaaSは、拡張性の高いプラットフォームの上で動いている。こういった取り組みを行っているのはOracleだけであり、結果としてOracleはもっとも早く成長しているクラウドの会社になったとハード氏は言う。そしてOracleにNetSuiteが加わったことで、OracleはERPマーケットのリーダーとなり、さらにSaaS ERP Suiteの勝者にもなった。

 実際、2016年11月からOracleにNetSuiteが加わり、クラウドビジネスの成長率は大きく上がっている。これはOracleのグローバルスケールの体制が、NetSuiteに加わった結果でもある。統合後にはパートナーのエコシステムの部分も強化されている。そしてOracleとしては、NetSuiteに投資を続けることをハード氏は会場に参加している顧客に約束もした。

 具体的な方向性の1つとしては、OneWorldの国際化の研究開発投資を行う。これは単なる多言語対応にとどまらず、各国の状況に合わせたローカライズをしっかりと行っていくことになる。この国際化の取り組みは、ドイツやメキシコ、日本を含むアジア地域などがフェーズ1で進められ、中国、インド、ブラジルなどがフェーズ2となっている。

 さらに予算管理、予算計画、人材管理機能を新たに追加する。また小売りや金融サービス、製造などのインダストリー別ソリューションの開発にも投資する。これはSuiteSuccessの名称で、SaaSの導入から運用に至る方法論と製品を含めたもので、総合的に顧客の成功を支援するものになる。これらの取り組みを行うことで「No1 Cloud ERPであるOracle + NetSuiteの未来は、極めて明るい」とハード氏は強調した。

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日本にデベロッパーセンターとデータセンターを開設すると表明

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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

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