クラウドへの投資はさらに続ける
InforのCEO チャールズ・フィリップス氏は、元Oracleのプレジデントだった人物だ。2010年にCEOに就任し、そこからInforの変革をすでに7年間ほどリードしている。Inforumの基調講演のステージに登場したフィリップス氏は、「業界ごとの知識を持っていることこそがInforのビジネスの核であり、それぞれの業界で必要なものを見極め必要な機能を適宜提供している」と語る。
この業界ごとの知識を詰め込んだアプリケーション群は「Infor CloudSuite」として、クラウドとオンプレミスで同じものが提供されているのも特長だ。これによりハイブリッド・クラウドの構成でERPアプリケーションを運用できるのも同社のクラウド戦略上の強味となっている。とはいえこのCloudSuiteは単一製品ではない。いくつかのアプリケーションの集合体だ。そこでiONというミドルウェアを提供し、APIを使って連携させられるような構成になっている。
Inforでは、昨年くらいから顧客のクラウド化への対応に特に力を入れている。製造業の生産管理領域のアプリケーションなどについては、4、5年前ならクラウド化を考える企業はほとんどなかった。一方で、その頃から先進的な企業がクラウドを利用するのは当たり前になり、クラウドを活用する実績も増えた。さらに懸念されていたクラウドのセキュリティの問題なども、今は解消されつつある。つまりは、いよいよ製造業のクラウド化も本格化する時期に来ていると言うわけだ。
「我々はクラウドが今後さらに拡大すると予測しており、クラウドの領域には大きな投資を続けています。そのためにInforのクラウドは、パブリックで極めて拡張性の高いものになっています」とフィリップ氏。
Inforでは、自社でクラウドデータセンターを運用するのではなく、クラウド化のために当初からAmazon Web Services(AWS)と密な協業関係を築いている。そのため、今回のイベントでもAWSがグローバル・クラウドパートナーとして大きなスポンサーとなっている。そして世界中で実績のあるAWSを活用しているからこそ、Inforのクラウドサービスはグローバルレベルの利用できるSaaSになっているのだ。
Inforでは、クラウド化が進んだことでオープンなパートナー連合の構築にも力を入れている。これは昨年から取り組んでいることで、関連するパートナー企業も着実に広がりを見せている。そんな新たなパートナーの1つが、マーケティングオートメーション分野のマルケトだ。Inforumの2日目の基調講演にはマルケトのCEO スティーブ・ルーカス氏も登壇し、BtoBの世界でも顧客とのエンゲージメントが大事でありInforとともに「エンゲージメント・エコノミー」を構築していくのだと力強く発言した。
顧客が望む機能全てをInforが買収などで用意することはできない。そのため「Inforのアプリケーションをコアの製品として提供し、その周りにいろいろなアプリケーションを集めインテグレーションできるようにしました。そのために5,000を超えるAPIも用意しています。これによりERPをカスタマイズするのではなく、必要な機能をアセンブルして顧客の要望に応えます」とフィリップ氏は言う。