昨日、カルソニックカンセイのニュースリリースがひっそりと更新されました。
カルソニックカンセイ、自動車分野のサイバーセキュリティに本格進出
カルソニックカンセイさんは日本の大手自動車部品メーカーです。筆者は自動車方面にはあまり明るくないので考えたこともなかったのですが、自動車というのは、たとえば日産だったら日産で全部作っているわけではないらしいのですね。あの外側とエンジン以外のいろいろなパーツというのは、別の会社(カルソニックカンセイさんのような会社)が作っているんですね。そう考えると、企業の情報システムと似ています。
上記ニュースリリースは、そのカルソニックカンセイさんとフランスのサイバーセキュリティベンダーであるQuarkslab社さんが合同会社White Motionを設立しましたよ、そのCEOに蔵本雄一さんが就任しましたよ、という内容のものです。車のセキュリティというのは、エンジンやドア、フォルムではなく、パーツに関わることです。そしてIoT時代の車のセキュリティと言ったら、サイバーセキュリティの知識が必要です。そこで自動車パーツメーカーとセキュリティベンダーの2社が合同会社を設立、蔵本さんがその舵取りをするに至ったのです。蔵本さんといえば、『もしも経営者がセキュリティ対策を聞いてきたら』の著者であり、弊社主催のセキュリティセミナー、また当Webサイトでもおなじみの、サイバーセキュリティ界のエバンジェリストであり、情報セキュリティの教育や啓蒙、経営層へのアプローチの方法などに尽力されてきた方です。その蔵本さんが、車のセキュリティに専念するとおっしゃる。具体的にはどのようなお仕事になるのでしょうか。
まだまだ発展途上、車載セキュリティの世界
車のセキュリティ、これを「車載セキュリティ」と呼びます。IoTやコネクテッドカーなどで最近そこそこ注目を集め始めている車載セキュリティの世界ですが、まだ情報が出そろっていません。自動運転における安全の話なのか、つながることに対して起こり得る車へのハッキングだの不正アクセスといった脅威の話なのか、そもそものディフィニションやカテゴライズもまだまだというジャンルです。このジャンルに真正面から取り組もうというのが今回設立されたWhite Motionです。
「車載セキュリティを考えた時に、2軸あると思っています。1つ目はSafety、機能安全です。2つ目はセキュリティ。車載セキュリティはこの2軸で考えないといけません。車だけで考えるとサイバーのナレッジが少ない。逆もまた然り、要は得意範囲が違うんですね。この2軸をどういう風に両立させるかが車載セキュリティの鍵です」(蔵本)
セキュリティとセイフティの両立。今回蔵本さんが転職を決めた決定的な理由はこの2軸のおもしろさだったといいます。
「縦軸がありますね。サイバーセキュリティはこうして二次元で考えるのが基本ですよね。ITだと当たり前なんですけど、車だとまだあまり語られていない。『機能安全の確保』これが車では一番の肝です。ITだと、何かあったときにどうするのか、いろいろなロジックが、可用性だとかいろいろありますよね。車は機能安全が一番大事。それを両方やるのがWhite Motion。自動車の知見とサイバーの知見、両方がそろっていないと現実解が出ない。だから今回の座組はすごく正しいんです」(蔵本)
なるほど。具体的にWhite Motionではどのようなサービスを提供していくのでしょうか。