システムの中核を担うデータベースにおいてもコスト削減が求められ、OSS製品が広く検討されるようになりましたが、今後は高度化するITシステムで“使える”製品が必要です。本稿では、PostgreSQLをベースとし、次世代のITシステムの中核を担うべく進化を続けるEDB Postgresを取り上げ、先進的な各種機能の開発を牽引するEnterpriseDB社の取り組みをはじめ、ついに実装された「パラレルクエリ」とそれによって見えてきた「大規模システムでの適用」をご紹介します。
世界最大のPostgresベンダー「EnterpriseDB」の取り組み
世界各国の有志の手で開発されているPostgreSQLには、ソースコードが二次的に利用できることからいくつかの企業が開発者を雇用する形でPostgreSQLの開発を支援し、独自のカスタマイズを加えた製品やソリューションとしてさらなる価値を提供しているという面があります。そのようにして生み出されたPostgreSQLベースの製品の中には、得意分野において商用製品と遜色のない十分な効果を発揮したり、製品ごとに得意分野が異なることで同じPostgreSQLをベースとした製品としながらも多様性が生まれているものがあります。
EnterpriseDB社はそのようなコミュニティでの開発を牽引する、世界最大のPostgresベンダーです。「EDB Postgres」は、そのEnterpriseDB社が開発している、より大規模な環境で、簡単に、安心して使いこなせるための便利な機能を追加し、Oracle Databaseとの高い互換性を備えた汎用RDBMSです(図1)。
EnterpriseDB社は、顧客企業のニーズを集約し、企業として開発に投資することで、本来のPostgreSQLが目指す姿を実現している会社と言えるでしょう。そしてEnterpriseDB社によって開発されたデータベース本体の改善はPostgreSQL開発コミュニティにもフィードバックされ、数年後にはその機能を誰でも利用できるようになるというエコシステムが完成しています。そのため、図2にあるようなエコシステムの中核を担うEnterpriseDB社は、データベース界を牽引する世界最大のPostgresベンダーと言えるのです。