ファイル・バックアップとイメージ・バックアップとは?
どちらも身近なバックアップ方法ですよね。すでにご存じの方も多いかもしれませんが、このあたりで一度おさらいをしてみましょう。
ファイル・バックアップとは昔からの手法で、その名前の通りファイル単位のバックアップです。ファイルやフォルダを指定したバックアップだけでなく、アプリケーションのバックアップも該当しますので、例えば、ファイルサーバーの共有フォルダをバックアップする場合や、オラクルなどのデータベースをバックアップする場合も当てはまります。
利点は必要なデータを必要な単位で保護できること、必要な単位でのデータ復元が迅速に行なえることです。逆に欠点と言えば、必要なデータしか保護してないのでシステム全体の障害が発生した場合には弱いことです。OSの動作が不安定になった場合やシステムを以前の状態に戻したい場合などは、システム自体の復旧(OSやアプリケーションの再インストール)が必要になってしまいます。データはあるけど、復旧するまでシステムが使えないというのは、これはこれで課題と言えます。
それに対し、イメージ・バックアップはシステムを保護することに重点を置いたバックアップです。私はイメージ・バックアップを「システム全体をまるっと取得する」と言っています。個別のボリューム単位でも取得できますが、全てのボリュームを取得することができますので、先のシステムに問題が発生するような場合でも、いちいちOSやアプリケーションの再インストールを必要とせずにまとめて復旧できる良さがあります。どこにどのようなデータがあるか分からない場合にも有効です。だって全てバックアップしているのですから。逆に欠点は個別データのバックアップではないので、全体の容量が大きい場合にバックアップに時間がかかるなどの無駄が多くなります。ということで、ファイル・バックアップとイメージ・バックアップは要件に応じた使い分けが効果的になります。
イメージ・バックアップ、よくある質問
ここでよく受ける質問についてお答えします。当てはまる方も多いかも?
質問1. ファイル全てをバックアップしたらイメージ・バックアップと同じ?
回答1. 確かにそう見えるのですが、システム復旧の観点では大きく異なります。
システム復旧の目的は、復旧後のマシンの電源を入れるとOSやアプリケーションが起動すること、以前の状態に戻ることです。その為にはディスク上のシステム・パーティションやブート・パーティションが正しく復元(設定)されていることが前提ですし、ブートローダーを正しく読み込むことが必要になります。イメージ・バックアップはディスク上のブロック(小さなデータの並び)単位で取得することで、このディスク上の構成を保持できます。だから、ディスク構成も復元できるのですね。ファイル・バックアップだとファイルをただ取得するだけなので、ファイルはあるけど、OSやアプリケーションを障害発生前と同様に起動できるようにはならないのです。(簡単な表現にしていますので、詳しく知りたい方は技術書を是非参考にしてください。)
質問2. イメージ・バックアップとスナップショットは同じ?
回答2.本質は異なりますし、併用される機会も多いと思います。
スナップショット自体は製品やベンダーにより考え方が異なりますので、ここで全てを網羅することはできませんが、代表的な例をあげてみたいと思います。また、企業環境において、ストレージのスナップショット機能を使う機会が多いと思います。ストレージ・スナップショットはその名前の通りストレージ側にて任意の時点の状態を保存することで、いつでもその時点のデータを戻すことができます。