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バックアップ屋の手帳から

ファイル・バックアップとイメージ・バックアップって何が違うの?―いまさら聞けない、2つのバックアップ手法

例にみるイメージ・バックアップ

例1.私のノートPCのイメージ・バックアップ

 OS付属の機能を使うにせよ、市販のバックアップソフトを使うにせよ、イメージ・バックアップの場合は、ノートPCのディスク全体をバックアップできます。その場合に重要となるのは、PCを使いながら(ファイルを書いたり、消したり、更新したり)正しくバックアップできることです。そのままだと使用中のファイルはロックされていたりしますから上手にバックアップできないのですが、それを回避する為にスナップショット機能を利用します。要は、バックアップするためにファイルを正しく読み込む必要がある、スナップショットの技術を併用することで読み込める状態が作れる、と言えます。そして、ハードディスクが壊れた場合などには起動ディスクからPCを立ち上げ、取得済みバックアップ・データを丸ごと復旧したりできます。

例2.会社にあるスナップショット機能を持つストレージ

 スナップショット機能を持つストレージも安価になっています。このようなストレージを使用していると、ストレージ側でスナップショットを取得することができますので、本番データに不具合があれば、以前のスナップショットから迅速に対象となるデータを復元できます。これはとても便利ですよね。環境によってはシステム領域も含めてスナップショットで保護できます。ただし、やっぱり欠点があって、同じ筐体内にデータがあるのでその筐体全体の障害が発生した場合にはデータを復旧できないことがある、スナップショットが依存する元データ自体に問題が発生すると使いものにならない可能性が高い、などが想定されます。一概には言えませんが、概ねこのような感じです。

例3.vSphere環境(仮想環境)

 ハイパーバイザー自身がスナップショット機能を持っています。その為、運用中の仮想マシンに変更作業を行なう場合、事前にスナップショットを取得すれば、いざと言うときに元の状態に戻すことができます。ただ、注意点があり、スナップショットを保持したままの運用ではその仕組上どうしてもパフォーマンスが悪くなります。いろいろな方と話しをする限り、スナップショットを頻繁に作成することはなく、何かの作業前だけ作成することが多いようです。
 また、ストレージ・スナップショットと同様に、同じボリュームにデータがあるので筐体障害においてはデータを復旧できません。あるいは、スナップショットが依存する元データ自体に問題が発生すると使いものにならなくなります。スナップショットがバックアップの代わりにならないのはこのあたりが理由ですね。
 さて、バックアップの視点では、このスナップショットを利用することで仮想マシンの任意の時点のイメージ・バックアップを容易に取得できるメリットがあります。多くの製品ではスナップショットを利用して静止点を確保したり、別筐体にバックアップ・データを保存することで、いろいろな復元シナリオに対応できるようになります。
 いかがでしょう?似ているようですが、異なることがお分かり頂けたかと思います。さて、話も長くなってしまいましたので、今回はこのあたりにしたいと思います。
 結論、ファイル・バックアップとイメージ・バックアップは用途が違うこと、スナップショットはイメージ・バックアップと似て異なるものと思って頂ければ幸いです。

 それでは、また次回に乞うご期待。

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この記事の著者

吉田幸春(ヨシダ ユキハル)

ヴィーム・ソフトウェア株式会社
システムズ・エンジニアリング・マネージャー1996年よりIT業界に携わり、主にハードウェア及びソフトウェアベンダーでのプリセールス経験を持つ。その他にも金融機関において海外拠点でのインフラ構築や、ハードウェアベンダーにおける研究棟のインフラ管理を担当した。 2015年7...

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