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RFPに記載するべき項目の概要

  2016/01/20 06:00

 短期集中連載『RFP書き方指南』では、私の開発プロジェクト経験や裁判所で見聞きした紛争の事例などをもとに、よりよいRFPを書くためのポイントを書いていきたいと思います。スペースの関係もあり、すべてを詳細に書ききるまでには至りませんが、経験上、特に失敗が起きそうな部分について、順次書いていきます。ぜひお役立てていただければと思います。

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連載開始にあたり―RFPはどれくらい重要か

 RFP (提案依頼書) とは、情報システムの導入を考えるユーザ企業がベンダに対して、システム導入の目的や、求めるメリット、納期の希望や様々な条件等を伝え、それらを満足するシステムの実現方式や、金額、スケジュール、体制等の提案を求める文書です。言ってみれば、システム開発発注の入り口にあたる文書とも言えるものです。

 私は、東京地方裁判所でシステム開発を巡る様々な法的紛争の解決をお手伝いしているのですが、トラブルプロジェクトの原因が、実はこのRFPの不備にあるというケースがかなりの数に上ります。

 「この営業支援システム、肝心の顧客の購買履歴管理機能がないじゃないか。」
 「そんな機能を開発するなんて聞いてないです。提案書にも書いてないですよね。」
 「だって、このシステムの導入目的は、既存顧客の購買傾向から次に買いそうな商品を検索して紹介するってことだよ。購買履歴が必要だなんて、当然、分かってたはずじゃない。」
 「でも、RFPには、そんな導入目的書いてませんでしたよ。ただ、個人顧客の売上向上ってあるだけで、だから、提案書にも要件定義書にも、購買履歴管理なんて書いてませんでした。」
 「えー?依頼書に書いた、”個人顧客の囲い込み”っていうのが、それのはずだったんだけど。要件定義書の顧客管理っていう機能の中に、購買履歴管理っていうのが入ってたんじゃなかったの?」「知りませんよ。そんなの。どうしてもっていうなら、追加費用ですね。スケジュールも伸ばしていただかないと・・・。」

 言葉遣いはともかくとして、こういうコントのようなやりとりが実際の現場でも行われており、その様子を記した議事録などが、裁判の時に提出される証拠資料などにも挙げられています。システム開発失敗の9割は要件定義に原因がある、などと言われますが、実際にはそのうち何割かは、とっかかりであるRFPにあるようです。

 システムを導入するユーザ企業の担当者は、ヌケモレなく、書いた人間の意図を誰もが正しく理解できるRFPの書き方を知っておく必要があります。ちゃんとしたRFPを書くには、それなりに勉強も必要だし、なかなかに面倒な作業ではありますが、RFPは、それによって何百万円から数億円、あるいはそれ以上のシステム導入費用をドブに捨てることにもなりかねない重要な文書ですので、基本的なことだけでも抑えて、間違いのない、誤解を生まないものを作りたいものです。

 というわけで、今回の短期集中連載では、私の開発プロジェクト経験や裁判所で見聞きした紛争の事例などを基に、より良いRFPを書く為のポイントを書いていきたいと思います。スペースの関係もあり、すべてを詳細に書ききるまでには至りませんが、経験上、特に失敗が起きそうな部分について、順次書いていきます。ご参考にしていただき、お役立てていただければと思います。

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著者プロフィール

  • 細川義洋(ホソカワヨシヒロ)

    ITプロセスコンサルタント 東京地方裁判所 民事調停委員 IT専門委員 1964年神奈川県横浜市生まれ。立教大学経済学部経済学科卒。大学を卒業後、日本電気ソフトウェア㈱ (現 NECソリューションイノベータ㈱)にて金融業向け情報システム及びネットワークシステムの開発・運用に従事した後、2005年より2012年まで日本アイ・ビー・エム株式会社にてシステム開発・運用の品質向上を中心にITベンダ及びITユーザ企業に対するプロセス改善コンサルティング業務を行なう。現在は、東京地方裁判所でIT開発に係わる法的紛争の解決を支援する傍ら、それらに関する著述も行なっている。 おもな著書に、『なぜ、システム開発は必ずモメるのか? 49のトラブルから学ぶプロジェクト管理術』 日本実業出版社、『IT専門調停委員」が教える モメないプロジェクト管理77の鉄則』。

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連載:RFP書き方指南
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