複数のクラウドへのデプロイとコンテナ化をサポート
Pivotal GreenplumはPostgresSQLに源流を持つデータウェアハウス用の超並列型のRDB。2010年にEMCがGreenplum社を買収しPivotalを設立。2015年からはOSS化し、近年ではPivotalの開発基盤である「Pivotal Cloud Foundry」とのシナジーにより、リリースのバーションアップが頻繁になってきている。
今回の発表に際して、Pivotalジャパンの正井拓己社長は、新バージョン「Pivotal Greenplum 5.9」の特徴として、1)マルチクラウドサポート、2)コンテナ対応、3)統合された分析機能をあげた。
マルチクラウドでの利用を促進
本バージョンでは、VMware vSphereやOpenStackなどのプライベートクラウド上での稼働に加え、AWS、MS Azure、Google Cloud Platformのパブリッククラウド上での稼働をサポートする。
ベアメタルサーバーのようなオンプレミス、プライベートクラウド、パブリッククラウドなどインフラの違いを超えた対応が可能になる。これによりユーザーはたとえば、テスト環境など特定の分析ワークロードをクラウドに移行しつつ、並行してオンプレミス環境での分析も維持するなど、柔軟なアナリティクス環境を構築できる。
またAWSやAzure、Googleのマーケットプレイスから数分で本番スケールでインスタンス化するなど、環境構築が容易になった。
コンテナとKubernetes対応を強化
Greenplumは、コンテナ管理製品であるPivotal Container Service (PKS)との統合を進めてきた。今回のコンテナ化ではとりわけコンテナ管理の標準となりつつあるKubernetesの対応を強化した。これにより、オンデマンドでクラスタをプロビジョニングでき、さらにDB管理者の負荷を軽減できるようになった。
統合分析基盤
また多様な分析ニーズに応えるため、クラウドDWH、機械学習フレームワーク、グラフデータベース、地理空間ツール、テキスト分析ツールなど様々な分析ツールをGreenplumのプラットフォームの中で利用できるようになった。
Ver.5.9では、クエリーインターフェイス(ANSI準拠の SQL、Python、 Rなど)をプラットフォーム内でコンテナ化することで、リソースの分離と柔軟性を強化する基本コンポーネントを提供する。
7月11日の発表では、この多様な分析ツールを統合的に利用するデモがおこなわれた。デモの内容は、「Pivotalで勤務し、お互いを直接知っていて、指定の緯度・経度から2km未満のATMで24時間以内に200ドルを引き出した、名前がPeterもしくはPavanに似ている、人物の調査」というもの。あいまい検索、テキスト分析、グラフ分析、地理空間などを各種ツールを使い、「一文SQL」で処理する様子が松下正之氏によって紹介された。
一時期、ビッグデータ処理のためのアプライアンス型のDWHが注目されていた時期があったが、プライベートクラウド、パブリッククラウドの双方の要件が複雑化し、コンテナによる構築の効率化が進んできた現在、垂直統合型のDWHの耐用の転換期に来ているという。この市場に、PivotalジャパンはGreenplumでの移行を提案していくという。
今回のリリースにあわせ、日本ビジネスシステムズ(JBS)、JBSテクノロジーとの協業への合意を発表した。JBSがGreenplumを販売し、JBSテクノロジーが構築・保守運用サービスをおこなう。