パブリッククラウドや外部データセンターを利用した大企業は3割を超える
2018年度の国内企業のIT支出計画は、全体では前年度比で「変わらない」とする企業が6割を超えている。しかしながら、大企業(従業員数1,000人以上)/中堅企業(同100~999人)ではその割合が5割未満となり、「増加」が大企業では39%、中堅企業では25%に達し、ともに「減少」を上回っている。
労働人口の減少や人材不足を背景として、大企業/中堅企業を中心に、ITを積極的に活用することで業務の効率化や働き方改革に取り組む動きが強まっているとIDCではみている。
産業分野別では、通信/メディアと金融でIT予算の拡大傾向が強くなっている。一方で、政府/公共は、「増加」が「減少」を上回るものの、「減少」の割合が3割近くに達し、IT予算を拡大する組織と縮小する組織に二極化する傾向が見られる。投資領域をみると、大企業では、パブリッククラウドサービスや外部データセンターサービスを利用した割合が3割を超えている。
DXに取り組む企業が半数を超え、大企業中心に金融と情報サービスの取り組みが先行
デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む企業は半数を超え、大企業を中心として、金融と情報サービスの取り組みが先行している。また、業務部門が独自に管理するIT予算があるという企業は、大企業ほど多く、9割を超える。一方で、大企業では、「IT投資対効果の可視化」や「IT戦略策定/企画力の向上」を課題とする企業が多く、外部パートナーのサービスを幅広く必要とする傾向も強くなっている。
国内ITサービス市場は、第2のプラットフォーム向けのITサービス支出の減少により、徐々に成長率が低下していくとみられる。クラウドを中心とした第3のプラットフォーム向けITサービス支出が市場全体の成長を牽引するものの、業務部門がプロジェクトを主導し、従来システムとの連携が十分に考慮されていないケースも少なくない。
このような状況において、「ITサプライヤーは、企業のDXパートナーとして、IT部門と業務部門をつなぐ役割を担い、企業全体のIT戦略を包括的に支援すべきである」とIDC Japan ITサービス リサーチマネージャーの木村聡宏氏は分析している。
今回の発表はIDCが発行したレポート「2018年 国内CIO調査:ITサービス/アウトソーシング利用実態」にその詳細が報告されている。レポートでは、国内企業のCIOや情報システム部門長またはそれに準じる立場の管理者を対象として実施したアンケート調査の結果をまとめ、国内企業のIT投資動向、IT部門の課題と取り組み、ITアウトソーシングサービスの利用状況などについて分析を行っている。